乗り継ぎ便に搭乗して2時間でハンブルクへ到達。ドイツ北部に位置するためヘルシンキからであれば遠くない。出発時間は若干差があるが、ルフトハンザ・ドイツ航空でフランクフルトやミュンヘンを経由するよりも現地到着時間ではフィンエアーの方が1時間ほど早い。東欧諸国に向かうのであればさらに近く、フィンエアーが便利だろう。

筆者撮影

話は帰路に移る。現地時間の17時半ごろ、ヘルシンキを飛び立った機体は、日本時間の10時ごろに成田空港に到着した。ジェット気流が強くなる冬場ではあるものの、到着まで9時間を切ったことは感動的でさえある。到着時に「もっとゆっくり飛んで寝かせてくれ」と思ったほどだ。これを一度味わうと身体が覚えてしまい、ついついリピートしたくなる。

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格付けによる安心感も魅力の一つだと感じた。世界の空港や航空会社の格付け会社「SKYTRAX」による評価は、10年連続で北欧のベストエアライン。北欧で4つ星を獲得したのはフィンエアーだけだ。安全面では、エアラインの国際的安全評価機関JACDEC(Jet Airliner Crush Data Evaluation Centre)が毎年公開する「安全なエアライン100社ランキング」の2019年調査で1位に選ばれている。

遅れた日本路線参入、拡大する利用者と利益

フィンエアーの日本路線就航は1983年にようやく始まった。欧州メジャーのルフトハンザ、ブリティッシュエアウェイズ、エールフランス‐KLMの各社は、1948年から1963年にすでに就航していた。だいぶ遅れての市場参入だった。

しかし、飛行ルートは大きく異なっていた。欧州メジャー各社は米・アラスカのアンカレッジやモスクワを経由していた一方、フィンエアーは就航当初より極北、シベリア経由の「最短ルート」で日本に直行便を飛ばしてきた。

フィンエアーは、日本市場へのテコ入れも懸命に行ってきた。外国エアラインにしては珍しく、日本人俳優をCMに起用。役所広司氏がイメージキャラクター「Mr.ヨーロッパ」を務めた。

実際、ここ数年は安定して成長を続けている。2014年から2018年の5年間で、売上高は124%(2,741億円→3,401億円)、税引前利益は270%(211億円→570億円)に増えている。日本線を含むアジア路線の収益は、国内や欧州、太西洋路線よりも多く全体の43%を占めている。

※編集部註:初出時の表記に誤解を招きやすい点があったため、増率の表現をあらためました。(1月24日12時57分追記)

フィンエアーは、日本路線がフィンランドに次いで重要なマーケットであると表明している。前述のルフトハンザ・ドイツ航空ではアジア・太平洋路線の収益構成は19%であり、根本的にマーケット構造が相違している。

後発のハンデを「欧州最速」のキャッチフレーズで克服し、日本人にとって欧州を身近なものにした。欧州各都市への乗り継ぎ輸送の利便性は旅行者を惹きつけており、「最短最速」を売りに路線を展開するフィンエアーは、日本市場で成功モデルと言っていい。