北欧の小さな航空会社が「日本の空」に活路を見いだしつつある。世界ランク62位の「フィンエアー」が、欧州直行便ではANAやJALに次ぎ、海外勢では最大規模になっている。航空ジャーナリストの北島幸司氏は「北欧は日本から一番近いヨーロッパ。『欧州最速便』を掲げて日本の需要を開拓した成果だ」という――。
筆者撮影
フィンエアーのエアバス A350-900

「小さな国のエアライン」が日本に向ける熱視線

フィンエアーは、北欧・フィンランドの首都ヘルシンキを拠点にした航空会社だ。航空会社の規模を表す「有償旅客キロ」(RPK)は347億RPK(2018年時点)。世界62位で、欧州の中でも15位の中堅会社だ。数字だけ見ると決して目立たない、平凡なものだ。

しかしフィンエアーは、福岡空港に就航した2016年以降、日本と欧州を結ぶ直行便を担う代表格に成長した。現在、ヘルシンキ・ヴァンター空港から成田(週9便)、関西(週7便)、中部(週5便)、新千歳(週2便)の4空港に週23便が乗り入れている。夏スケジュール限定では、これに福岡(週3便)が加わり、関西は週5便が増便されている。

2020年3月下旬から始まる夏スケジュールでは、羽田へ週7便の就航枠確保が決まっている。つまり、フィンエアーは最大6空港に週38便が乗り入れることになる。対して、欧州最大のエアラインであるドイツの「ルフトハンザ・ドイツ航空」は週26便なので、季節便を除いても、フィンエアーは“欧州勢ナンバーワン”になる。

小さな国の小さなエアラインがなぜここまでシェアを拡大できたのか。それは、日本と欧州を結ぶ飛行ルート上、フィンランドが極めて有利な場所に位置しているからだ。