「仏壇」が子供の情操にいい影響を与える

お墓参りの形式は自由だ。お墓を洗い清め、線香と蝋燭ろうそくを灯し、数珠をかけて手を合わせる。心の中で故人と対話をしてもよし、無心に手を合わせてもよし。経本があれば、短いお経(般若心経など)を唱えていただきたい。不思議と、心が落ち着いてゆくことだろう。

お墓が遠くにある人は、居住地の近くのお寺や神社で、遠く離れた故郷を思い浮かべながら、手を合わせるという行為も同様の効果がある。あるいは日常的に仏壇や遺影に手を合わせる行為も、「心のデトックス」には極めて効果的だ。

2016年1月29日付の産経新聞は、「『仏壇』が子供の情操に好影響 保有率低下の一方注目される効能」との見出しで報じている。

《12歳から18歳の男女約1200人を、仏壇参りを「毎回」「時々」「しない」の3つのグループに分けて、他者への優しさに対する比較を行ったところ、明確な差が見られた。例えば、「誰かが悩みを話すとき『そんなこと知らない』とは思わない」という子供は「毎回」のグループでは56.6%なのに対して、「しない」のグループでは43.9%しかいなかった。「誰かが困っているとき、その人のためにそばにいたい」とする子供が「毎回」では45.6%いたのに対し、「しない」では33.2%と10ポイント以上もの差が開いた》

調査は10代の子どもが対象だが、社会人にもきっと当てはまる。他者への思いやり、慈愛のこころを育むお墓参りや仏壇参りをぜひとも実践していただきたい。

「取り返しのつかない過ち」もお墓参りで救われる

次に、誰にも相談できないような「取り返しのつかない過ち」を抱え、苦しんでいる人へ、その解決策としてのお墓参りを提案したいと思いう。

いくつか、ケースを挙げてみたい。

《気の合わない同期がいた。出世競争に勝ちたいがために、あらぬうわさ話を流し、同期を追い落とし、退社に追い込んでしまった。彼はその後、派遣社員を続けていたが体調を崩し、生活保護を受けていたが、亡くなってしまった。私のあの時の振る舞いがなければ、彼はきっと違った人生になったに違いない。詫びたくても、彼はもうこの世にいない》
《社内で妻のいる上司を好きになってしまった。その上司は私との不倫が元で妻と別れたが、その妻は自殺をしてしまった。取り返しのつかないことをしてしまったと後悔してもし切れない》
《家庭を顧みず、仕事に没頭して30年。家庭環境は荒れ、親の死に目にも会えなかった。退職を前に、こんな人生で良かったのかと後悔を始めた》

いずれも極端な事例と思われるかもしれない。しかし、いつ何時、あなたがこのような当事者にならないとも限らない。これらは、誰かに相談したくても相談できない内容だ。間接的であっても、相手を死なせてしまった。謝りたくてもその人はこの世にいない。もうどうしようもない事のようにも思える。あなたは死ぬまで、悩み続けるしかないのだろうか。