なぜ、鹿児島県は1人あたりの生花の消費量が国内一か

こんなデータがある。

鹿児島県は1人あたりの生花の消費量が国内一多く、日常的にお墓参りすることで知られている。共同墓地を訪れると、いつでもどの墓にも鮮やかな花が供えてあり、奇麗きれいに掃き清められている。鹿児島県人は、供養にあつい県民性なのだ。

撮影=鵜飼秀徳
鹿児島県内のお墓はいつでも花が供えられている

次に刑法犯(殺人、強盗、強姦、暴行、傷害、放火、窃盗など)の犯罪発生率(人口100人にたいする発生率)を見てみたい。すると、鹿児島県は全国47都道府県の中で41位(0.75%)とかなり低位。ちなみに上位は、1位大阪府(2.06)、2位愛知県(1.97)、3位福岡県(1.70)だ。

お墓参りを通じて、ご先祖様に「見られている」意識が人々の心に根付き、日々の行動抑制につながっていると考えるのは飛躍が過ぎるだろうか。

お墓参りは会社の人間関係の「心のデトックス」効果あり

さて何十年、下手をすれば何百年も受け継がれてきているのがお墓だ。墓前で手を合わせ、読経をするなどして故人の供養をし、あるいは故人に対して日々の報告をする人もいるだろう。

企業に長年勤めていると、人間関係のトラブルはつきものだ。昨年まで企業に勤めていた私自身も大なり小なり、職場のトラブルは抱えていたし、同僚や後輩から、職場の悩みを今でも受けることがある。

「上司からパワハラやセクハラを受けて許せない」
「理不尽な異動命令を受けた」
「イエスマンばかりが評価される企業体質に我慢がならない」
「あいつが出世しているのは上司と愛人関係だからだ」

組織の中の不平や不満、憎悪、嫉妬が、渦巻いている。特に最近多い相談は、働き方改革に関する相談だ。

「残業はなくせ、休暇は取れと言う一方で、成果を上げろという。結局、自宅に仕事を持ち込むしかない」

みんな心も体も疲弊し切っている。自我を殺して、理不尽にたいして我慢を続けた挙げ句に、心の病を患い、ひそかに心療内科に通う人も少なくない。思いやりの精神で組織が満たされれば、そんなことは起きないのだが、現実的には組織は冷たいものだ。

そこで現代人には、「心のデトックス(解毒作用)」が必要となってくる。気分を晴らせるような趣味やスポーツを持っている人は、そこで心身をリフレッシュしていただきたいと思う。しかし、趣味もないし、時間やカネをかけたくないという人には、是非ともお墓参りを習慣にしてもらいたい。