少しずつ心のつっかえが溶解していく

鵜飼秀徳『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP研究所)。元経済系記者で浄土宗僧侶の著者が、現代のビジネスシーンに置き換えながら、仏教を「再翻訳」した“世界一わかりやすい仏教本”。

いや、あなたが救われる方法が、ひとつだけある。それは、死なせてしまった相手の墓に手を合わせ、罪を告白し、許しを乞うて、供養することなのだ。仏教でこのことを「懺悔(さんげ)」と言う。

涅槃ねはん経』では、「もし懺悔して慚愧ざんきを懐かば、罪すなわち除滅す」と説かれている。「自分や他者にたいして罪を認めて恥を知り、二度と同じ過ちを繰り返さず、悔い改めれば罪は消滅する」のだ。

人は生きていれば誰しも、大小の罪を犯してしまうもの。大きな罪であればあるほど、時間をかけて深く懺悔する必要があるが、いつしか罪は消滅する。上記のようなケースでも、心から墓前で謝罪を続けていけば、少しずつ心のつっかえが溶解していくことだ。お墓参りには計り知れない力があることを知っていただければ幸いである。

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