年末を意識する時期になってきました。年末年始は家族全員で夫の実家に帰省――。この恒例行事を憂うつに思っている女性も多いのでは。そのためか、最近は父と子だけで帰省する「父子帰省」が話題になっています。家族のあり方を研究する筒井淳也先生も、父子帰省はおススメと断言します。その理由とは?
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できれば夫の実家に帰省したくない……

日本では、夫婦一緒に夫の実家へ帰省する家庭が少なくありません。夫のほうは自分の実家に帰るので何の気兼ねもありませんが、妻のほうは交通費はかかるし気疲れはするしで気が進まないもの。「できれば行きたくない」と思っている人もいることでしょう。

日本の家制度は基本的には「父系社会」的な面が強く、妻の両親よりも夫の両親との関係を大事にする傾向がありました。帰省も墓参りも夫婦そろって夫方へ行くのが当たり前、という地域もまだたくさんあります。

ただ、この傾向は近年薄れつつあります。日本が母系社会になってきたのか、はたまた両方の親を大事にする双系社会になってきたのか、といった議論も起こっていますが、私自身は「個別化」が進んだ結果と見ています。

結婚したからといって夫婦一体となって行動する必要はない、自分の親との関係は大事にするがそこに配偶者を巻き込まない――。近年は、男女問わずこうした考え方の人が増えているように思います。

考えてみれば、親のほうも息子の嫁には気を使うものです。互いに気疲れするぐらいなら、夫婦個別で行動したほうが合理的。父親と子どもだけで父親の実家に帰省する「父子帰省」も、その表れのひとつではないでしょうか。