「夫の実家に帰省しなくてはならない」という課題に、連休のたびに頭を抱える妻たちがいる。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「最近は、妻が義実家に帰省したくない原因にも多様性が見られる。『ウチの可愛い息子を奪った悪い嫁』といったスタンダードモデルが崩壊し、義実家×嫁の組み合わせの数だけ問題が増えた」という――。
重苦しい空気が流れているカップル
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世間では「楽しみな連休」のはずなのに…

夏休みや年末年始、GWといった長めの連休が来るたびにため息をつく妻たちがいる。理由はただひとつ、「夫の実家に帰省しなくてはならない」という課題が重くのしかかるからだ。

コロナ禍で以前ほど義実家への帰省がマストではなくなったものの、昨年末あたりから「もうそろそろ帰ってきてもいいんじゃないの?」「成長した孫の顔も見たいわ」などと義実家からの帰省に対するプレッシャーがじわじわと増してきている印象を受ける。私のまわりでも「帰らない理由」を探して頭を悩ませている女性たちが少なくない。

最近は、妻が義実家に帰省したくない原因にも多様性が見られる。昭和の時代の「ウチの可愛い息子を奪った悪い嫁」として敵対視され、嫁姑問題に発展するというスタンダードモデルが崩壊し、「義実家×嫁」という組み合わせの数だけ問題が増えたといえる。

たとえば、義実家に帰省するのがイヤになった妻たちの話にはこんなケースもある。

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【CASE1】オーガニック嫁×ジャンクフード義母

「義実家に帰省するたびに、血液がドス黒く汚れるようで耐えられないんです」と、苛立ちを隠すことなく訴えるのは専業主婦のR奈さん(42歳)。4歳年下の夫との間に6歳になる娘がいる。

R奈さんの長年の悩みに、「老けて見えること」があった。「もともと夫は4歳年下なうえに童顔なので仕方ないのですが、並んで歩くと私たち夫婦の年の差が傍目にもハッキリわかるみたいで。結婚当初は『年の差なんてオレは気にしないよ』と言っていた夫も、年齢を重ねた今はさすがに老けて見える私に恥ずかしさを感じるようになったのか、以前ほど一緒に出かけようとしなくなりました」

そんなR奈さんが食事にこだわりはじめたのは1年前のことだった。「娘の肌のトラブルをクリニックに相談したところ、食生活の改善をすすめられたんです。シミひとつないピカピカの肌をした女医さんからの『娘さんの肌が変わるだけでなく、お母さんも体の内側からキレイになって、若見えが叶いますよ』という言葉には説得力がありすぎました」。

その日からR奈さんと娘さんの食生活は一変。「食材はすべて化学肥料や農薬を一切使わないオーガニック食品をお取り寄せで調達。肉は大豆で作られたものを食べ、小麦もカット。油にもこだわって毎日料理をし、外食は控えるようになりました」。夫も朝だけはオーガニックの食事に付き合うものの、「昼と夜は外で好きなものを食べたい」と妻子とは完全に異なる食生活になったという。

こだわり抜いた食生活を続けるうえで問題になったのは、義母がひとりで暮らす夫の実家への帰省だった。