賢い妻たちの「夫を味方につける」テクニック

帰省先の義実家で起こる不快な出来事は、こちらがどんなに対策を立てたとしても完全に防ぎきることは不可能だ。「悪気はない」という大義名分があればなおさら、この先も義父や義母の言動が自然に是正することはまずないといってもいいだろう。

ただ、だからといって泣き寝入りをせよ、というわけではないのも事実。ポイントは、「義実家は変えられなくても、夫は変えられる」というところにある。つまり、避けられないトラブルはあるが、起きたことへの対応はできる、ということ。なぜなら、妻が義実家で受けるダメージの原因の大半は「夫の対応のまずさ」にもあるからだ。

義実家で生じた問題で妻が怒り、不機嫌になるのは「夫に相談した際、夫が義父や義母の肩を持ったこと」が許せないから。本来、義実家と妻とのトラブルを避けたいなら、夫は「どんな場合でも妻の味方になる」という選択肢しかあり得ないのだ。

では、まずい対応をしがちな夫をどう味方につけたらいいのか。じつは、そこが妻の手腕が問われるところといってもいい。というのも、賢い妻たちは夫に相談する場合はいつでも「可愛げ」を潜ませたアプローチをすることを心得ているのだ。

具体的には「私の勘違いかもしれないけれど、こういうことがあって困っているの」「私がいたらないのかもしれないけれど、何がいけなかったのかな……」というように、可愛げを前面に出しながら夫に助けを求めるスタイルが問題解決の近道。

その際、義父や義母の言動を否定しないこともポイントだ。身内のことを悪く言われてプライドが傷つかない夫はいないことも覚えておきたい。

夫に期待できない場合の費用は「経費」

もしも、すでに義実家への帰省が決まっていて、今からでは夫の対応も変えられそうにない場合はどうしたらいいか。ひとつに、うまい言い訳や言葉を巧みに活用し「今回はあなた(夫)と子だけで帰省して」と誘導する策があるだろう。過去に相談に来た人が使っていた言い訳は「実家の親の具合が悪い」や「親戚の顔合わせ」など。そのほかおすすめなのは「自分の具合が悪い」だ。

ここでも、先ほど述べた「可愛げ」を潜ませた言葉遣いが役立つ。これなら夫の身内を否定することなく、夫のプライドも守れるので円満に帰省回避が叶うだろう。まずは、自分は行かずに済む方法(抜け道)がないか、前向きな悩みに転換しよう。

厄介なのが、どうしても妻も義実家に帰省するしかない場合だ。ヒントになるのは「自分の機嫌は自分でとる」ということ。夫に期待ができないなら、自力で事態を打開するのが残された道だろう。

たとえば、義実家への帰省と自分の気持ちが上がるようなイベントをセットで計画するのも手。帰省の帰りにアウトレットに寄ってショッピングを楽しむ、1泊は温泉地に宿泊する、普段は行かれない遠方のレストランの予約を入れておく、といったことで自分自身をねぎらうことも心身を健全に保つためには欠かせない。

そのくらいのことで自分の心を立て直すことができ、夫婦仲を悪化させることなく、次回からの帰省についての悩みが軽減されるなら「必要経費」と考えてもいいのではないだろうか。何よりも自身の心の安寧にもつながるはずだ。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー

夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。