いわゆる「天才」タイプの人と付き合うには、何に気をつければいいのか。医療研究機関で天才部下を率いるロバート・フロマス氏は、「天才は会話が苦手なことが多い。だから、聞き方にもコツがいる」という――。
※本稿は、ロバート・フロマス、クリストファー・フロマス『アインシュタインズ・ボス』(TAC出版)の一部を再編集したものです。
あなたは「話を聞かない上司」になっていないか
テクノロジー革命——天才のチームをあちこちの企業で急増させた原因——は、新たなコミュニケーション手段をいくつも生み出した。いまやわれわれのまわりはモバイル機器だらけで、メール、テキストメッセージ、動画、オンラインストレージを目にしない日はほとんどない。
これは言うなれば、世界のノイズの量が飛躍的に増えたということでもある。
しかし、そうした外界のノイズ以上に問題なのは、われわれが他人の話を聞くことよりも、自分の考えを発信することにもっぱら心を奪われている現実だろう。とりわけリーダーほどその傾向が強い。だれかが話していても、リーダーはまともに聞こうとしない。
「天才の邪魔をしない」というルールを満たすには、黙って天才の話を聞くのがいちばんの方法だ。相手の話によく耳を傾けると、権限をその相手に委ねられる。頭のなかのノイズも鎮められる。それなのに、話を聞くのを苦手としているリーダーは思いのほか多いのである。
私はいくつかのテクニックを使って、話を聞かない上司にならないようにしている。まず、打ち合わせではほぼいつもメモを取る。これはタブレット機器の登場でずいぶん楽になり、会議には必ずタブレットを持ち込んでいる。
メモの出来映えで、どれだけ相手の話を聞けていたかがわかる。このメモを自分にメールして案件ごとに保管し、主なポイントをすぐ見返せるようにしている。このひと手間のおかげで、口頭での約束を自分に都合よく変えて記憶していることに何度も気づいた。文字に残せば、そうしたミスとも無縁でいられる。