天才を採用するにはどうすればいいのか。医療研究機関で天才部下を率いるロバート・フロマス氏は、「自分と似ているタイプは採用しない方がよい。自分と同じくその人も天才ではないという証拠だからだ」という——。

※本稿は、ロバート・フロマス、クリストファー・フロマス『アインシュタインズ・ボス』(TAC出版)の一部を再編集したものです。

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面接にやってきた6人の生化学者

天才の考え方を理解することが重要なのはなぜか。理由は天才を見極められるからだ。天才はめったにいないし、たいてい目立たない。あなたの組織にも、適切な刺激を与えれば超越的な知のレベルに達する天才候補がいるかもしれない。

隠れた天才を見つけたら、能力開発の研修を受けさせたり、新たな仕事を任せたりして刺激を与えてみよう。チームの生産性に計り知れないプラスになるはずだ。

面接で天才を、とくに若くてまだ実績の少ない人を見極めるのは難しい。だが、自分のチームを「よいチーム」から「すばらしいチーム」にしたければ、ぜひ取り組むべきだ。

ある日の午後、私は自分の研究チームのために6人の生化学者を面接した。求めていたのは、プロジェクトの問題解決のキープレイヤーとなれる人物、6人のうちで最も頭の切れる人物だ。

採用面接で最初にピンと来るのは、自分と似ている相手であることが多い。その日の候補者では、ジャックという男性がそうだった。

ジャックは、私が以前働いていたインディアナ大学の卒業生だった。彼の指導教授は私の知り合いで、ジャックは「だれよりも早くラボに来て、そり犬のように働く」とお墨つきをくれた。成績も申し分なかった。