天才は専門分野以外に創造的な趣味を持っている

1 直列的ではなく並列的に考えるか。

電気は直列でも並列でも、複数の回路に同時につながっていても流れる。その候補者は、一度にひとつのことしか考えられないだろうか。それとも、同時にふたつ以上の考えを頭にとどめておけるだろうか。

アインシュタインは、質量とエネルギーが相関しているとだれも思わなかったときにそのふたつを結びつけて考えられた。一見相反する考えを同時に脳内にとどめられなければ、ほかの人にはランダムに見えるものの規則性を見抜けないだろう。

2 ふたつ以上の分野を究めているか。

レオナルド・ダ・ヴィンチはたぐいまれな芸術家で、独創性と先見の明に富んでいた。ヘリコプター、戦車、ソーラーエネルギー、計算機、プレートテクトニクス説[訳注:地球の地殻がプレートごとに固有の動きをすることを説明した学説]の概念を、それらを実現する工学の誕生よりもはるか前に思いついた。

アメリカ建国の父にして物理学と電気学の発展に寄与した科学発明家でもあるベンジャミン・フランクリンは、避雷針、遠近両用眼鏡、アメリカ初の公共図書館、走行距離計などを発明した。

あなたが面接する候補者は、仕事の専門分野のほかに、創造性を要する趣味や関心を持っているだろうか。アインシュタインはバイオリンを演奏し、モーツァルトに関するエッセイをいくつか書いた。

3 目の前の問題に没入するか。

その候補者は、答えを見つけたり目標を達成したりすることに夢中になるだろうか。わくわくしながら挑戦し、その過程で喜びを見つけるだろうか。

天才は自分の専門分野のミスをほとんど見逃さない

4 問題の解決法はユニークで、しかもシンプルか。

ロバート・フロマス、クリストファー・フロマス『アインシュタインズ・ボス』(TAC出版)

その人の着眼点はふつうと違うだろうか。独創的に考えるだろうか。複雑なアイデアをわかりやすく伝えられるだろうか。

5 生産性が高いか。

エジソンは膨大な数の特許を取った。アインシュタインは何百もの論文を発表した。当然ながら、そのすべてが相対性理論と同じレベルに達していたわけではない。しかし、彼の頭脳は絶えずアイデアを生み出していた。

6 仕事の正確さにこだわるか。

天才の仕事が正確かどうか、私にはわからないことがよくある。その仕事の内容が理解できないからだ。ただし、その人が正確さにこだわるかどうかならわかる。

天才は、自分の専門分野のミスや間違いをほとんど見逃さない(もっとも電気料金の支払いのような、日々の雑事はころりと忘れてしまうが)。

以上の6つの問いを使えば、大半の面接で天才を見極められる。職場で新しく人を雇ったり、既存のメンバーを評価したりする機会があれば、ぜひこれらの問いを活用してすぐれた才能を見つけてほしい。

言うまでもないが、天才はめったにいない。天才を見つけて採用できれば、チームの成功は約束されたようなものだ。さらにその天才を効率的なチームに組み込めれば、だれもが無理だと思った進歩も成し遂げられる。

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