卒業に必要な単位をすべて修得していながら、卒業論文を出さないなどの方法で卒業を先送りして、就活に邁進する学生たちを「就職準備生」と呼ぶ。就職市場が悪化し、就職準備生は日増しに増加している。
2017年11月、「アルバモン」という韓国の有名就職サイトが卒業予定者らを対象に調べたところ、「就職のために卒業を猶予する」と答えた学生はおよそ55%にものぼった。特に、就職に不利とされる人文系では70.9%が卒業を先送りすると答えた。
お金を払ってでも学生の身分を買わざるを得ない
しかし、大学側からすると、授業料を払わずに、あるいは少額の授業料だけで学生という身分を維持しようとする就職準備生たちは好ましい存在ではない。そこで、卒業を猶予するためには、少なくとも1科目(単位)以上の履修登録をしなければならないという条件を掲げた大学も多い。
2017年2月、教育部が140の大学を対象に調査した「卒業猶予の生徒数および総登録金現状」によると、卒業猶予制度がある104大学のうち67(65%)の大学が卒業猶予生たちに履修登録を義務づけていた。
1学期の卒業猶予のために1つ以上の単位を履修登録するとすれば、私立大学の場合、平均60万~70万ウォンの受講料を払わなければならない。よって、学生たちの間では「就職難のせいで金を払って在学生の身分を買わなければならない」という批判が出ている。
就職準備のための塾の費用など経済的な負担が大きい彼らに、必要でもない単位の履修登録を強要する大学に対する不満である。結局、国会は「卒業猶予生登録金の強制徴収禁止法」と呼ばれる高等教育法改正案をまとめ、2018年10月から施行した。
この法律によると、大学側は卒業猶予生に受講や登録金納付を強制できない。だが、大学は、図書館や食堂などの施設使用料や就業科目受講料などの名目で、依然として卒業猶予生から数十万ウォンのお金を徴収している。
法律は受講義務を禁止しているだけだから問題ないというのが大学側の立場だ。結局、法律が変わっても、学生たちの負担は軽くならないままだ。