ソフトバンク、アマゾン、アップル。3社3人のカリスマ創業者の決定的な違いは何か。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「孫社長はNo.1にこだわる野心家。一方、ベゾス氏は徹底的な顧客主義。ジョブス氏は秘密裏にデザインを追求し続けた」と指摘する——。

※本稿は、田中道昭『ソフトバンクで占う2025年の世界』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

写真=AFP/時事通信フォト
アマゾンの「Re:MARS」カンファレンスで、ロボティクスとAIについて演説するアマゾン創業者兼CEOのジェフ・ベゾス=2019年6月6日、ネバダ州ラスベガス、アリアホテル

カリスマ経営者のスピーチで見える人物像

ソフトバンクグループの2019年7~9月期の連結決算は約7000億円の営業損失と、同社の四半期決算では過去最大の赤字となりました。

決算説明会では、孫正義社長はこれを「今回の決算はぼろぼろ」と自虐的に称しながらも、厳しい質問をすることで有名な各種メディアの凄腕記者たちからも積極的に質問を受け付け、一貫して真摯で謙虚な態度で現在起きていることについて丁寧にかつわかりやすく説明を行いました。

実際、起きてしまったネガティブなニュースのインパクトを和らげるのに十分な効果があったように見えました。説明がシンプルで明快なことは孫社長の真骨頂と言ってもよいのではないでしょうか。

一方で、アップルの創業経営者スティーブ・ジョブズ、アマゾンの創業経営者ジェフ・ベゾスに目を向ければ、それぞれ、パッション重視のシンプルなプレゼンテーション、一貫して決してぶれない主張や語り口に顕著な特徴があります。本稿では、ソフトバンクグループ、アップル、アマゾンそれぞれの創業経営者の人物像に焦点を当てて比較したいと思います。