ライドシェア事業大手のウーバーは、売上高こそ伸びているがずっと赤字だ。いまはソフトバンクグループ傘下にあり、孫正義社長の投資判断の是非が問われている。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「孫社長は『ドライバー不要』という未来において、ウーバーが爆発的に成長すると考えているのだろう」と指摘する——。

※本稿は、田中道昭『ソフトバンクで占う2025年の世界』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

写真=NurPhoto/時事通信フォト
2019年11月6日の記者会見で話すソフトバンクG会長兼社長の孫正義氏。ソフトバンクはこの7-9月の第2四半期の純損失は7040億円と発表。

投資事業そのものへの懸念が高まっている

ソフトバンクグループの2019年7-9月期決算は約7000億円の営業損失となりましたが、それはソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する銘柄の未実現評価損失(純額)が同四半期末で約5380億円にものぼったことが主な要因です。

投資会社としてのソフトバンクグループの象徴が10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドです。同ファンドを通して多くの企業へ投資がされていますが、今決算での莫大な評価損を受けてソフトバンクグループの投資事業そのものへの懸念が高まっています。なかでも、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの評価損計上に大きな影響を与えたのが、ライドシェア事業のウーバー銘柄など1兆1276億円もの公正価値減少でした。