ウーバーは各地域で競争に勝てるのか

ウーバーのプラットフォームと収益性・成長性の関係について、懸念点を一つ指摘しておく必要があります。それは、ウーバーのプラットフォームは「規模の経済」が効きにくい構造になっているということです。

プラットフォーマーは、その土台・基盤の上により多くの顧客を獲得し、より多くの商品・サービスを提供することで「規模の経済」を効かせながら収益をあげ成長していきます。ところが、ウーバーのサービスは地域毎に提供されることになります。自動運転が実現したとしても、地域毎に見れば、事業規模や顧客数が限定されることで単位コストの低下が効きにくい、スケールメリットを活かしきれないという側面もあるでしょう。また、限られた地域内での競争なので、プラットフォーマーとしての総合力を十分に発揮できないようにも思えます。

ニューヨーク大学ビジネススクールのスコット・ギャロウェイ教授はテクノロジー・ニュースのウェブサイト「Recode」の創業者でジャーナリストのカラ・スウィッシャー氏との対談で、ウーバーを民泊プラットフォーマー「Airbnb」と比較して、「ライドシェアなら、(サービス地域が限定されるので)ローカルでの需要と供給をリーズナブルに創り出せる」、一方で「Airbnbはグローバルな需要を掘り起こす必要がある」、「そういうわけで、ウーバーはローカルで多くの事業者との競争にさらされる」と述べています(2019年9月21日付「Introducing Pivot with Kara Swisher and Scott Galloway」の該当部分を筆者が和訳)。

このような「規模の経済」の観点からも、ウーバーの収益性・成長性を見ていく必要があるでしょう。

シナリオ分析をふまえ長期的に見る必要がある

ウーバーは赤字体質から抜け出す見通しがたたず、株価も上場時に比べれば低迷しています。ここ数年単位でいうなら、なかなか厳しい事業運営を強いられることになると予想されます。

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一方で、より長期で見るなら、特に自動運転技術の進化やその社会実装のスピードに対して、サステナビリティやシェアリングの価値観の変化がライドシェア会社、さらにはソフトバンクグループの時価総額を動かす大きな要因になると分析しています。それは、先述の通り、自動運転が社会実装されたタイミングにおいては、商業車として対応できるライドシェア会社が既存のプラットフォームやビッグデータを活かして収益化しやすく、各種プレイヤーのなかでも有利になると考えられるからです。

今四半期決算ではウーバーなどの評価損からソフトバンクグループの投資事業への懸念が高まりました。しかし、筆者は、こうしたシナリオ分析もふまえながら、ソフトバンクグループやライドシェア会社を見ていく必要もあると考えています。

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