アマゾンvs.ソフトバンク連合の分かれ目は「顧客」

最後に、ソフトバンクグループのグループ企業のなかでも、ヤフーが直接的に競合しているアマゾンについて追記しておきたいと思います。

田中道昭『ソフトバンクで占う2025年の世界』(PHPビジネス新書)

アマゾンのアニュアルレポートでは、B2Cの消費者とB2Bの事業者が顧客として定義されています。そしてCEOであるジェフ・ベゾスは創業時からECの生命線はラストワンマイルであると見抜き物流を整備してきました。EC事業者としてのアマゾンとテクノロジー企業としてのAWSが表裏一体であるのもアマゾンの強み。アマゾンはEC企業であり、ロジスティック企業であり、テクノロジー企業でもある。

そして創業時に紙ナプキンに描いたビジネスモデルには最初からカスタマーエクスペリエンスが中核に据えられており、ベゾスは長年にわたって、豊富な品揃え、低価格、迅速な配達が3大要素だと言ってきています。

何よりも重要だと思っているのは、ベゾスの動画を見ていると、とにかく顧客や顧客第1主義という言葉が頻繁に出てくるということ。顧客以外は関心がないかも知れないことには批判が必要ですが、顧客を本当に思っていることは確かではないかと思います。

その顧客から見ると、ECサイトでの豊富なレビューやリコメンデーションなども豊富な品揃えの中から商品を選ぶには大きな魅力になっている。

アマゾンvs.ソフトバンク連合を考える上では、結局は顧客のことを実はどちらが本当に真剣に考えているのかというところが最後の根源的分岐点になるのではないかと考えています。AIやデジタル化によって「アップデート」すべきものは、常に進化している顧客のニーズやカスタマーエクスペリエンスへの対応なのです。

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