ケンカしていい場面なのかを考えてみる

明らかに相手がケンカ腰のときは、どうしたらよいのでしょう。

ここまでのやりとりで自分の落ち度はない、自分の考えは正しく相手が間違っていると思っても、ケンカしてよいかどうかは別です。自分のほうが正しいからと正論を押し通していくと、まとまるものもまとまらなくなります。それでも雌雄を決するというのであれば、もはやメールの書き方や技術の問題ではありません。

会社として相手の主張を受け入れることはできないという場合には、組織として対応します。その場合には、上司や専門家などと一緒に対応を検討することになります。

もしも、相手とよい関係を継続したいのであれば、望ましい着地点を見つけて、その方向で努力する必要があります。

まずは相手に理解を示す

仮に相手に譲歩してほしいことがある場合も、まずこちらの誠意を示します。自分の落ち度は反省して詫び、相手の意見の正しいところは認めて、どうしても譲歩してほしいことはていねいにお願いするという話の進め方が必要になります。

たとえば、文例⑭のような書き方です。

シチュエーションはこうです。あなたは相手方に支払う報酬の額を提示しましたが、相手から強い不快感の表明がありました。どうしても相手に了承してもらいたいと考えたあなたは、次のようなメールを送りました。

中川路 亜紀『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか? 仕事ができる人の文章術』(光文社新書)

文中の、「お詫びかたがた」とは、「お詫びを兼ねて」という意味です。「かたがた」は「お礼かたがた」「ご挨拶かたがた」などとつかわれ、便利な表現です。

さて、この文例では、相手が提示された報酬額を受け入れられない理由を説明していることに対して、全面的にその内容の正しさを認め、自分が無知であったことを最初に詫びています。

なんとか相手に気を取り直してもらい、改めてお願いするというスタンスです。まず、相手側の言い分に理解を示すというプロセスは非常に重要です。

たとえば、こんな言い回しも参考になると思います。

ご指摘のとおりです。こちらの認識不足でご不快な思いをさせてしまい、心よりお詫び申し上げます。企画書を作り直しますので、再度ご検討いただくことは可能でしょうか。
生半可な知識でわかったようなことを書いてしまい、お恥ずかしい限りです。失礼をお赦しください。ご指摘の点について、少しお時間をいただき検討したいと思います。

このように相手を立てることにしたとしても、どうしても相手に了解してほしいことがある場合には、

ご指摘に従い、計画を変更したいと思いますが、一点だけご検討いただきたい点がございます。

などのように書く方法もあります。まずは相手の言い分に従うという姿勢を示すことで、こちらの意見を聞いてもらいやすくなる場合が少なくありません。

【関連記事】
仕事のできる人は、「メールに即レス」をしない
橋下徹「なぜ小泉さんの言い方は批判されるか」
二度と話したくない人に共通する3つの「ない」
すぐ辞める新人の言い訳「それは教わってない」
フランス人が日本人の謙虚さに心酔する理由