つい働きすぎてしまう人はどうしたらいいのか。明治大学文学部の齋藤孝教授は「40代のときにワーカホリックになった。だが、激太りをしたことに危機感を抱いて、余裕のあるスケジュールを組むように転換した」という。何を工夫したのか――。

※本稿は、齋藤孝『人生は「2周目」からがおもしろい』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

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40代でワーカホリックになった

心の荷台を軽くするという意味で、仕事のしすぎ、無理はよくありません。働き方改革が叫ばれていますが、上からの押し付け的な改革ではなく、働く当の本人の意識自体が変わっていかなければいけません。

「余裕時間」が必要です。

残業してがむしゃらに働いたからといって、必ずしも良いパフォーマンス、アウトプットができるとは限りません。たとえば文筆家の場合、1日1時間空いたスキマ時間で書けるか、というとそうではない。

5時間空いたとしたら、そのうち何もしていないような時間が4時間あって、初めて1時間分執筆できる。その4時間は無駄なように見えて無駄ではありません。1時間の執筆のために必要な「余裕時間」なのです。

じつは私自身、ワーカホリックで、ものすごく忙しい時期がありました。30代にまったく本を出せない時期があったものですから、40代になって『声に出して読みたい日本語』をきっかけに仕事の依頼が一度に来た時、ほとんどすべて引き受けてしまった。

年間60冊の本を出し、その他に大学の講義、講演会があってテレビ番組に出演していました。おそらく日本で一番忙しかった一人だったと思います。