【山本】僕は16歳から芸能界にいたから、同世代の人と仕事をすることがなかったんです。自分が年取ってきて、同世代の作家やディレクターがだんだん出てきたんですけど、同世代で、新聞記者として映画にもなる人というのはほかにいませんよね。

東京新聞社会部記者 望月衣塑子氏

【望月】いやいや(笑)。日本のメディアがあまりにも萎縮しちゃっているので、異質感は出ているのかなと思います。

【山本】望月さん、萎縮しませんね。

【望月】私は菅義偉さんに聞いているだけですから、天皇陛下(当時)に手紙を出したりしてきた太郎さんに比べれば全然! 逆に私は、ネット上でも拡散されていた太郎さんの「ひとりでどれだけやってもガス抜きにしかなれていない」という演説にすごく心を動かされました。私がひとりで菅さんに質問することでキワモノ扱いになっても、それって世の中の怒りを持っている一部の人たちのガス抜きにしかなっていないよねって。私だけが吠えていたって世の中は変わらない。みんなと連携していかないと。

「ぶれようがない」としか答えようがない

今回の組閣にしたって、派閥を完璧に無視したまさにお友達在庫一掃内閣です。メディアも国民もなめられてしまっている時代に入って、キワモノ扱いのままでいいという段階でもなくなってきています。太郎さんの演説は「野党はどこかでネゴし合っているんじゃないか」みたいなことを含めた、身内への叱咤激励のようにも感じたんです。

太郎さんを見ていてすごいなと思うのが、ぶれないところです。太郎さんを自分の都合の良いように使いたい、何か発信してもらいたいという声もたくさんあると思うんですが、太郎さんの「社会のなかで切り捨てられる人たちの側に居続ける」という姿勢は変わらないじゃないですか。

【山本】というよりも「ぶれようがない」としか答えようがないですね。自分たちの支持者に対してどのような恩返しができるかということが非常に重要だと思うんです。それを愚直にやり続けているのが自民党であったりする。応援してもらった企業側に利益を渡すとか、減税してあげるとか、友達の学校に用地を安く使えるようにしてあげているという点では、いわば与党も真面目に仕事しているわけ。でも、そんなことやられたら国全体がぶっ壊れるんじゃないかという話なんですね。全体的に良くならなきゃ経済は再生しないし、人々の暮らしも良くならない。

みんな同じ船に乗っているのに、一部の人たちだけ良くなったって困るじゃないかという思いが強いです。いつ自分が困った状態になるかは誰もわかりません。特に僕なんて、まさか落ちると思っていませんでしたし、参院選で僕の分の議席は取れず、議員宿舎から追い出されてから、次の家を探すのにこんな苦労すると思わなかったし。