説明用のパワーポイント資料が5万ページある
【山本】もちろん原発問題は自分がこのキャリアをスタートさせることになったきっかけですし、心配は最初のころと変わりません。でもその話って、聞いてくれる側が聞こうとする姿勢になっていないと無理じゃないですか。伝わらない、聞いてもらえない。でも例えば、「原発を廃炉するのにどれぐらいの金額かかると思いますか?」みたいに話すと、足が止まるんです。やっぱりお金は一番の議論になりますよね。じゃあ政治の話を聞いてもらう入り口として、お金の話が一番良いじゃないかと。なかでも、当事者意識が一発で引き寄せられるのが消費税です。
【望月】すでに議論が始まっていますが、否応なしといわれる社会保障費の1兆円純増は、消費増税なくしてやれるものなのでしょうか?
【山本】そもそも消費税が社会保障に全額使われるというイメージがありますけど、使われるのは一部だけじゃないかという話です。日本は97年の増税で98年の本格的デフレに突入しましたし、2014年の増税のときにも、もっと不安定になっておかしくなかった。あのときは恐らく中国、アメリカの経済が好調で、輸出に支えられた部分があります。
でも、今回は、そういう後ろ盾がないわけですよね。一体どんな状況になるのか、想像するのも怖いぐらいです。そんななかでとにかく増税をする、支出を削るみたいなことを徹底していったら、これもう大不況になる以外にないじゃないかという、当たり前の話なんですよね。もちろん税で賄うという部分もあるけれども、私は新規国債の発行もやっていくべきだという考え方です。もちろん国も財政出動を全くしていないというわけじゃないんですけれど……。(秘書に)あれ出るかな。民主党政権時代からの税収とか、国債の発行の量がグラフになっているスライド(画面にグラフを表示する)。
【望月】説明用のパワーポイント資料が5万ページあるって本当ですか。
【山本】整理したら2万ぐらいになると思うんですが、整理していないから5万ぐらい残っています。
【望月】いろんな質問が飛んでも、わかりやすい資料がピッと出てくる。
【山本】だって山本のしゃべりだけで信用するわけがないじゃないですか(笑)。公債の発行額だけで見たら、一時期ちょっと増やしたときはありますけど、減ってきているんですね。これだけ見ても、財政出動が減っていっているのがわかります。
一方で税収自体は、90年代から大きくは変わっていない。飛び抜けた財政出動をしているわけではなく、国債発行まで絞っちゃってる状態だから、安倍政権は緊縮といえます。リーマンショックのときには民主党が国債で52兆円ぐらいの財政出動をしていますが、本当なら今だってこのレベルの財政出動を続けてもいい状態なんです。だって日本はずっとデフレなんだから。