職場で不満を感じるのは「フロー状態」に入ってないから

この証言には、プロティアン・キャリアを形成する大きなヒントが隠されています。ビジネスで成果を出す人は、折に触れて自分自身に適切な負荷を掛け、自分なりの限界を乗り越えようとします。

このとき、飛躍的に伸びるための集中した状態が、ミハイ・チクセントミハイ教授の掲げる「フロー(没入)状態」なのです。ミハイ・チクセントミハイ教授は、このフロー状態をビジネスの現場でも効果的に取り入れる必要があると説いています。

業務で高度のチャレンジをすると、フロー状態が生まれます。そしてフロー状態に入ると集中し、幸福を感じ、前向きの感情が生まれるのです。

フロー状態で仕事をすることが、ビジネスプロダクティビティの向上に直結するのです。例えば外科医は、長時間集中力が途切れることなく、難易度の高い手術に立ち会います。ミハイ・チクセントミハイ教授は、これは外科医がフロー状態に入っているから最高の手術を施すことができると解説しています。

フロー状態で課題に向き合い、解決策を見つけだすこと。これがビジネスプロダクティビティを養うのです。

もしあなたがいま、職場で不満を感じているなら、それは恐らくフロー状態に入れていないからです。フロー状態に入れる仕事を生みだすことが、ビジネス資本を蓄積するには欠かせません。

貴重な時間を奪う「会議」という存在

けれど、日本の職場でビジネスパーソンがフロー状態に入ろうとすると、いろいろな“妨害”が生じます。中でも大きな問題は「会議」ではないでしょうか。

ムダな会議を極力減らして、自分の仕事に向き合う時間を確保する。

そのために私たちは、会議とどのように向き合えばよいのでしょうか。

ビジネスパーソンの多くは日頃、貴重な時間の多くを会議に縛られています。このムダをぎ落とすことができれば、仕事の生産性は大きく変わるはずです。

私はこれまで、上場企業からベンチャー企業まで、様々な会社の社外顧問を10社以上務めてきました。それぞれの会議にも、いつも参加しています。

最もムダのない会議を開いていたA社では、必要なメンバーだけが会議に参加し、15分もしくは30分であっという間に議論を終えます。

一方、一つの議題で2時間以上延々と議論を続けるB社のようなケースもありました。会議があっという間に終了するか、ダラダラと続くのか。A社とB社の違いは、会議に対する意味付けと、認識の差にあります。