肉を食べないヴィーガンやベジタリアンの食生活がアメリカで広がっている。ニューヨーク市では、週に一度は肉を使わない給食が9月から始まる。そこまで徹底する理由はなにか。NY在住ジャーナリストのシェリーめぐみ氏がヴィーガン生活の実体験を聞いた——。(第3回、全4回)
肉や卵を食べないと栄養が偏ってしまうのでは
動物性プロテインを一切とらないヴィーガンは不健康なのではないか? という疑問は、ヴィーガンになりたい人もそうでない人も含め、おそらく多くの人が感じていることだろう。
しかし近年の研究で、その懸念は少しずつ晴れてきているようだ。アメリカで最も長い歴史と権威を持つ米国栄養学会では、ベジタリアンやヴィーガンを含むプラント・ベースト・フード(植物性食品)による食生活は健康かつ栄養面でも十分であり、場合によっては病気の予防や治癒する効果もあるとしている。
では、実際のところヴィーガンの人はどう考えているのだろうか。筆者が取材したNYベジタリアン・フェスティバルのオーガナイザー、サラ・フィオリさん(ヴィーガン歴20年)はこう答えた。
「いくらヴィーガンだからといって、植物性由来のピザやアイスクリームばかり食べていたら太ってしまうでしょうし、健康とは言えません」。実際そういうヴィーガンもたくさんいるという。
「どんな食べ物を食べればいいのか、しっかりとリサーチして栄養バランスのいい食事をすることが必要です。私も始めたばかりの頃は、さまざまな本を読んで栄養について知り、母もずいぶん助けてくれました。特にヴィーガンの食生活に不足しがちなビタミンB12は、私はサプリメントでとっています。また、出産したばかりで授乳もしていますから、魚に含まれるEPA(オメガ3脂肪酸)のサプリも」
このほかにもカルシウム、ビタミンDなどのサプリを併用する人も多いようだ。