それだけではない。世界の肉消費の増大に応えるために、ブラジルではアマゾンの熱帯雨林が破壊され、次々と農場に変えられているというニュースも報道された。そのペースはとても速く、1分間でサッカー場1つ分の森林が破壊されているのだという。漁業では、魚の乱獲が海のエコシステムを破壊している報道もよく聞かれる。

一方、アメリカではトランプ政権が人間による地球温暖化を否定してパリ協定を離脱。石炭産業の復活を目指すだけでなく、オバマ時代の環境規制を次々に緩めている。

こうした中、世界2位の温室効果ガス排出国として、自分たちができることとしてせめて肉食はもうやめよう、または減らそうと考えている、そんな若者が少なくないのである。

健康と地球環境に目配りする意識の高さ

ベジタリアン歴8年の女性はこう語る。

「私たちのほとんどは、肉を食べることが普通であると教えられながら育ちますが、肉の生産と摂取による健康と環境への影響について自分自身を教育し、それでも肉を食べ続けたい場合は自分でそう決めればいいと思うんです」

ベジタリアン歴7年の女性も「もし、健康と動物、そして環境を守りたかったら、ヴィーガンになるのがベストだと思います。ここ数年、多くのヴィーガンセレブたちがこうしたメッセージを出し、それが多くの若者にインパクトを与え、彼らがヴィーガンに興味を持つきっかけになっています。

そして注目すべきなのは、かつては女性主導だったヴィーガン・ライフスタイルに男性も注目していることです。男性アスリートが次々にヴィーガンになっていることが大きいと思いますね。かつての“男は肉を食べるもの”というイメージもなくなりつつあります」

シーズンド・ヴィーガンのシェフ・ブレンダさんはトレンドをこう説明する。「今の若者は地球や自然といったものに対し、とても高い意識を持っています。食べ物に関してもネットで詳しくリサーチし、自分に合った食生活を選びとっているのです」

若い世代にとってヴィーガンであることは、健康を守り、動物を保護するだけでなく、自分たちがこれから生きていく未来の地球環境を自分たちで守らなければならないという、サバイバルでもあるのかもしれない。セレブやインフルエンサーの影響も相まって、2019年にそういう「意識の高さ」がクールなトレンドになってきているのだ。