口にする物の栄養素は逐一調べる

ヴィーガンになって7年になる24歳の女性にも同じ質問をしてみた。

「ヴィーガンでタンパク質が不足すると考える人は多いですが、そもそもアメリカ人はタンパク質を必要以上にとろうとするあまり、お肉や余分な糖類をとり過ぎて太ってしまうんです。もちろん生きていくためには必要ですが、実はタンパク質は肉や魚以外の野菜や豆、雑穀類にも豊富に含まれています。そういうものをしっかり食べていれば、お肉よりずっと安上がりで栄養もきちんととれます。サプリは特に必要とは思いません」

ヴィーガンもやり方次第では不健康になってしまう。それぞれの食べ物に含まれる栄養を調べ、必要な食べ物と場合によってはサプリで補う。ヴィーガンで健康と感じている彼らと話して感じたのは、非常に意識が高く、よく勉強しているということだ。

「私たちミレニアル世代にとって、その気になれば情報を集めるのはとても簡単なことですから。これは過去にはあり得なかったことだと思います」

ところでここまで読んだ人は、肉をやめるだけならベジタリアンでいいじゃないか、何もヴィーガンになって卵や乳製品までやめる必要があるの? と疑問に思ったかもしれない。

実はヴィーガンの人には、まずベジタリアンになり、数年たってからヴィーガンになったという人がとても多いのだ。

なぜ、ベジタリアンではだめなのか

ベジタリアン・フードフェスティバルのサラさんは「私はまず、11歳でベジタリアンになりました。最初から卵も乳製品も全てやめるのは難しかったからです」と明かす。

レストラン「シーズンド・ヴィーガン」で出会った女性も、数年のベジタリアン生活を経てつい最近ヴィーガンになったという。女性は「自分の体がどんなふうに反応するのか分からなかったから」と理由を語ってくれた。

ではなぜベジタリアンでは不十分なのか? 「アメリカの若者が「肉食」を嫌がる切実な言い分」(8月13日)でも紹介したように、彼らがヴィーガンを選択するのは病気予防や「生き物を殺したくない」という思いが念頭にある。ヴィーガン料理のレストラン「シーズンド・ヴィーガン」のシェフは「卵もミルクも、動物から生み出されたものです。私も卵は生き物と思っています」と話す。

ベジタリアン・フードフェスティバルのサラさんは「例えば、卵にしても『人道的な育て方』はないんです。放し飼いと言っても実際には窓もない施設に入れられ、外に出してもらえるのは週に一度だけ。乳牛は常にミルクを出すために1年中妊娠させられ、乳が出なくなれば屠殺(とさつ)される。卵や牛乳の方がよほど残酷だと思います」