LINE Payの成功には「信用」「信頼」が必要だ

LINEの思惑が成就するかどうか、それはLINE Payの成功にかかっています。前述した通り、多くの競合がひしめくなか、3年後に生き残っているのは2~3社というところでしょう。生き残ることができるのは、決済手数料で儲けずとも、プラットフォーム全体、エコシステム全体で儲けられるプレイヤーのみ。

田中道昭・牛窪恵『なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか? アマゾンに勝つ! 日本企業のすごいマーケティング』(光文社新書)

そのうちの1社がLINEとなる可能性は高いと私は見ています。何しろ、コミュニケーショアプリとしてのLINEのシェアは盤石。使用頻度=顧客接点の多さでは、随一です。そしてLINE起点のスマートポータルの充実により決済手数料以外のところで儲ける基盤も整いつつあります。

今後、充足するべきは、金融サービスとしての「信用」「信頼」の部分だと私は考えます。

QRコード決済が普及し切った中国とは対照的に、日本ではまだ、QRコード決済そのものがキャズムの手前に位置します。不正利用などQRコード決済関連のトラブルが時折聞こえてくることが、その遠因となっていると思われます。

ユーザーは、自分の大切なお金をそこに委ねるのです。アプリの機能としての新しさ、便利さよりも、金融プレイヤーとして信用、信頼を確保することができれば、LINE Pay、ひいてはQRコード決済そのものが、キャズムを越えるはずです。

最後にもう一度、金融取引においては、キャズムを超える最大のポイントは「信用」「信頼」であることを強調しておきたいと思います。

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