国際社会の合意に違反し、緊張を高める北朝鮮

毎日新聞が8月4日付の社説で「静観続ける日米の異様さ」(見出し)と、ストレートに安倍政権とトランプ氏を批判している。その毎日社説を読んでみよう。

「最長飛行距離は約600キロで、日本本土が射程に入る。危険な挑発行為であり、看過できない」
「国連安全保障理事会の決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁止している」
「発射を受けた国連安保理会合で英仏独など多くの国が『安保理決議違反だ』と非難したのは当然だろう」

毎日社説はこうした指摘の後に主張する。

「驚くのは、トランプ米大統領の平然とした対応だ。『短距離で、多くの国が保有している』と容認しただけでなく、北朝鮮と『短距離に関する合意は一度も交わしていない。問題ない』とまで言い切った」
「だが、短距離かどうかが問題の本質ではない。北朝鮮が国際社会の合意に公然と違反し、緊張を高めていることだ。だからこそ、米国も『あらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄』を北朝鮮に迫ってきたのだろう」

トランプ氏の平然とした対応にはこの沙鴎一歩も、驚かされる。「多くの国が保有している」などという発言は、認めることはできない。アメリカのリーダー失格である。

毎日社説が訴えるように北朝鮮が「国際社会の合意に違反」し、「緊張を高める」ところにこそ、大きな問題なのである。

安倍首相は金正恩氏に足元を見られている

次に毎日社説は批判の矛先を安倍政権に向ける。

「その米国をたしなめていいはずの日本に動きがないのも不可解だ。安倍晋三首相は『日本の安全保障に影響を与える事態ではない』と平静を装っているようにみえる」
「北朝鮮がミサイルを立て続けに発射し、『国難』と呼んで厳戒態勢を敷いた2~3年前に比べると、その落差は異様ですらある」
「首相が呼び掛ける前提条件なしの日朝首脳会談の実現に障害になるのを避けたいのだろうか。そうであっても短距離ミサイルが日本への大きな脅威である現実は変わらない」

こうした毎日社説の指摘や主張も、賛成できる。日朝首脳会談の障害になるのを避けるために、安倍首相が非難を控えているとすれば、それこそ愚の骨頂であり、北朝鮮の金正恩氏に足元を見られるだけだ。ますます相手にされなくなる。安倍首相には毅然とした態度をとってもらいたい。