「ありふれた短距離ミサイルだ」とトランプ氏

アメリカのトランプ大統領の反応はどうか。トランプ氏は8月2日、北朝鮮のミサイル発射について記者団からの取材を受けてこう答えている。

「問題ない。ありふれた短距離ミサイルだ。我々は短距離ミサイルについて何も合意していない。短距離ミサイルは協議していない。協議しているのは核だ」
「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とは短距離ミサイルの発射中止の約束は交わしていない」
「だから北朝鮮との交渉は続ける」

トランプ氏は北朝鮮との対話路線を維持し、金正恩氏に非核化協議に応じるよう呼びかけていく方針だ。トランプ氏はなぜ方針を変えようとはしないのか。

そのわけは単純だ。核爆弾を搭載してアメリカ本土に届く長距離弾道ミサイルでない限り、問題はないというのがトランプ氏の見解だからである。

他方で、アメリカ本土が核攻撃を受けるような危険があれば、トランプ氏の支持者が黙っていないだろう。来年11月の大統領選への影響をトランプ氏は気にしている。

安倍政権はトランプ氏に「右へ倣え」だ

肝心の日本政府はどうだろうか。岩屋毅防衛相は防衛省内で記者団にこう語った。

「北朝鮮は6日の早朝に未詳の発射体を2回発射した。意図は分析中だが、米韓軍事演習に反発しているものと思われる。北朝鮮がミサイルの能力を向上させようとしていることは、わが国のみならず、地域全体にとっての深刻な課題で警戒監視に万全を期すとともに、総合ミサイル防衛体制を着実に整備していく」
「短距離・中距離のミサイルであっても、わが国にとっては重大な脅威だ。防衛省としてしっかりと対応していきたい」

日本の軍事的安全をつかさどる防衛相としては当然の発言だ。だが、これまでの安倍政権の対応は「日本の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されていない」との見解を示し、「日本の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」と強調するだけだった。

安倍政権はトランプ氏に対し、「右へ倣え」なのである。なんとも情けない対応ではないか。