「ペットボトル入りの水」を巡る世代間の断絶
打ち合わせや会議などをおこなう際、その場でもっとも年齢の低い若手がペットボトル入りの飲料を人数分買ってくる姿は、ビジネスにおける定番の風景のひとつだろう。
だが、こうした場面で「どんな飲みものを買ってくるか」が原因の“世代間断絶”が発生している、という声を耳にした。
50代の男性カメラマンが、取材先でこうぼやいていたのだ。
「撮影の合間、アシスタント(20代)に人数分(10人弱)のドリンクを買いに行かせたら、ミネラルウォーターばかり買ってきたんです。なぜ、水にお金を払わなくちゃいけないのか……。せっかく買うのだから、コーヒーやジュースを買ってきたらいいのに。信じられないです」
なぜ、わざわざお金を払ってまで水を飲むのか
このエピソードを40~50代の人々にも話したところ、「あるある!」という意見が続出した。
「確かにウチの若手も、コンビニに行って『なんでも好きな飲み物を買っていいよ』というと水を選びます」(40代男性)
「『打ち合わせ用の飲みものを用意して』とお金を渡したら、2リットル入りの水1本と紙コップを買ってきたんです。コーヒーやお茶、ジュースなどいろいろな飲みものを何本か見繕ってくるのが当たり前の感覚だと思っていたので、一瞬、絶句してしまいました」(40代男性)
また、50代の女性社長は「私が若者に『何か飲みものを買ってきて』と頼んだときに水を買ってきたら、ムカっとします」と苦笑したあと、さらにこう続けた。
「若者と一緒に喫茶店に入ったりすると、彼らが烏龍茶や麦茶など自宅でも簡単につくれるような品を頼んだりする。これも、なんだかイヤですね。私がお金を払うのだから、イチゴジュースとかクリームソーダといった、家ではなかなか飲めないようなものを頼んでほしい」
一方、若者からは水を買ってくることに否定的な中高年に対して「むしろ私たちのほうが信じられないです」といった声が数多くあがった。
「だって、水がいちばん無難で、おいしいですよね? いざというときには薬も飲めるし、なんなら手も洗うことだってできるので、汎用性も高い。ペットボトルの水をバッグに一本入れていたら本当に心強いです」(30代女性)
「品物を具体的に指定されず、ただ『人数分の飲みものを買ってきて』ということならぜんぶ水にします。いちばん好き嫌いがなくて間違いなさそうだし、買うときも迷わないし」(20代女性)