ビジネスの現場では「パワポ資料」が日常的に使われている。しかし本当に必要なのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「重要なのは体裁より内容。『なぜパワーポイントで資料を用意しないのか』と怒る人はいない」と指摘する──。
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広告業界で感じた「パワーポイント文化」の違和感

現在、ビジネスの現場では「パワーポイント」などのプレゼンテーションソフトで資料を作成し、プレゼンや打ち合わせで使うことが当たり前になっている。

ただ、ありとあらゆる場面で「パワポ資料を用意するのが必須」とする風潮には、以前から違和感を持っていた。広告代理店の社員だった20代の頃から、ずっとだ。

広告業界の業務では、プレゼンテーションソフトでつくる資料が常に付いてまわる。いまでも広告関係者の皆さんと一緒に仕事をすることは多々あるのだが、過剰なまでの“パワーポイント文化”に触れるたび、「一度、冷静に考えてみるほうがいいのでは?」と思うのだ。

たとえば、クライアントを前にした競合プレゼンなどでは、インパクトや明快さ、伝わりやすさが重視されるものだし、つくり込んだパワポ資料を用意するのもアリだろう。しかし、身内しか参加しないような社内打ち合わせでは、パワポ資料など不要である。また、クライアントと日常的に行われている打ち合わせなどにおいても、たいていは不要ではないだろうか。

出版業界、IT業界の会議資料はA4用紙1~2枚が一般的

私は現在、主に出版業界とIT業界で仕事をしているわけだが、両者ともに資料は「ペラ1」または「ペラ2」の文化である。統計や予算などのデータ類、スケジュール表、業務分担の一覧といった資料ではエクセルで作成した資料をA3用紙に出力することもあるが、企画書や会議のアジェンダはA4用紙(ペラ)1~2枚程度で、中身も基本的にテキストのみのシンプルな資料であることが圧倒的に多い。

そしてこのやり方は、広告業界でも実践することが可能であると、私は考える。いや、広告業界に限らず、パワーポイントが日常的に使われている会社は一度「本当に必要かどうか?」を真剣に考えてみてはどうだろう。そのうえで「やはり、パワーポイントで作成した資料こそが最適解である」と判断できるのであれば、そのまま使い続ければいい。