中川流・シンプル企画書の一例

それではここで、私がPR企画のプランナーを依頼された際、どのような資料を作成するか、一例として紹介しよう。企画の骨子は「夏の暑い時期に、A社のスポーツドリンク『X』のさらなる消費拡大を目指す」というものだ。なお、ここでは企画の実現性や面白いかどうかはさておき、「この程度の内容でも、要点を伝えることはできる」という例として示すことにする。


A株式会社御中

「X」夏期拡販企画について

【与件の整理】
1:夏は水分補給だけでなく、ナトリウムなども適宜摂取するのが重要であることを伝える
2:競合商品と比較した場合のXの優位性は、サッパリとした後味である点を訴求
3:冷凍用商品があることも伝える
4:ターゲットは若い男性

【施策案】
1:ツイッター企画「サッパリ系男子とXのある風景」
→自薦他薦問わず「サッパリ系」を名乗る男性がXとともにいる夏の風景を撮影してもらい、ツイッターハッシュタグ「#サッパリ系男子とXのある風景」をつけて写真を投稿してもらう。審査委員長を務めるグラビアアイドルの○○×子さんがもっとも好きな男子を選び、グランプリには賞金10万円とXを3ケース贈呈。その他10名は「特別賞」として賞金1万円とXを1ケース贈呈。

2:日本○○協会、××○夫さんによる「適切な水分補給セミナー」
→2019年6月、東京五輪組織委が62の国内競技団体の代表を招いた会議で、ボランティアの水分補給について説明。ペットボトルの水もしくはお茶、そして塩飴を配るといった対策を述べた。その際、ボクシング団体の代表が「熱中症対策には、スポーツドリンクを用意するほうがよい」と指摘。引き続き、検討が進められることになった。
そこで、同会議の参加メンバーでもある日本○○協会の××○夫さんを講師役に、適切な水分補給やスポーツドリンクのメリットなどについて指南するセミナーを開催する。参加対象は主に運動部に子どもが所属する保護者たち。会場でサンプリングを行うとともに、健康関連メディアの取材動員をかける。

3:フィットネスサイト「XYZ」合同企画「水とX、タイム・尿はどう変わるか実証実験」
→XYZと組み、20代男性と30代男性が、ほぼ同じ気温の2日にわたり、小便をした状態で皇居の周りを2周走る。その際、ランニング前に水で水分補給をしたケースとXで水分補給をしたケースで、走破タイムと尿の量を比較。夏場にはXが重要であることを伝える。

【懸念点】
・「1」についてはジェンダーの観点から「なぜ男性のみなのか」と言われる可能性がある
・「1」で審査員をお願いする○○×子さんのギャラについて現在事務所が強気になっている。代替タレントとしては、■■○子さんも検討
・「2」については、繁忙期のため、会場選択の幅が狭まる
・「3」については、健康にかかわることのため、第三者である専門家の監修が必要。また、狙った通りの結果が100%出るとは限らない

【準備期間・予算】
いずれの企画も、ご提示いただいた期間・予算の範囲内で実現可能。