「勝手にパワポ資料を読み進める人」に萎える

加えてもう一点、私がパワーポイントの資料を嫌う理由が存在する。

【6】印刷したパワーポイントの資料でプレゼンをすると、相手はペラペラと紙をめくり、こちらが説明しているページのさらに先を読もうとする。そこでつまらなそうな顔をされたりすると、気分が萎える。

私がパワーポイントでプレゼンをしていたのは27歳までのことなので、単純に企画書作成のスキルが未熟で、説明も退屈だったのかもしれない。だが、A4用紙1~2枚でのプレゼンスタイルに変えてからは、この【6】は発生しなくなった。

すると不思議なことに、自信をもってプレゼンが進められるようになったのだ。【6】のような状況に追い込まれると「あっ、早く先に進まなくちゃいけないな」「うわっ、オレ、つまらないことを言ってるのかなぁ……」という気持ちになり、焦りから説明に集中できなくなることが多かった。

企画書はインスピレーション重視で一気に書き上げるべし

また“パワーポイントの魔力”ともいえる、ある種のバイアスについても考えなければならない。パワーポイントで資料を作成すると、なぜだか「仕事をした達成感」に浸ることができるのである。大した中身ではないにもかかわらず、図表や写真、矢印などのデザイン要素を入れまくると、立派な資料ができたように感じてしまい、「内容」よりも「体裁」を整えることに意識が向いてしまうのだ。

企画書とは本来、その場のインスピレーションを大切にしながら、強い気持ちで一筆入魂をすべきたぐいの書類だと、私は思っている。それゆえ、A4用紙1~2枚の企画書を書くための所要時間は、私の場合、20分~30分程度。集中して一気に書き上げてしまうからこそ、熱のこもった、ユニークな企画がまとめられるのだ。

対して、パワーポイントで企画書をつくる場合、前のページへ、後ろのページへと行ったり来たりすることになり、どうしても気持ちがブレてしまう。そもそも作成自体に時間がかかるものだから、「別件の社内打ち合わせが30分後にあるけど、それまでにはつくり終わらないな……」「ひとまず他の予定をこなしてから、資料作成に戻るか」なんて状況も起こりがちだ。

会議や外出などを挟んで、再びパワーポイントの作成に取り掛かっても、当初の熱意はすでにどこかへ飛んでいってしまっている。別案件のせいで切り替わってしまった思考を戻すのも、なかなか難しい。仕方がないので、これまでにつくった43ページ(仮)分のパワポを見直して、齟齬そごがないかを確認したりしながら、アタマを企画書づくり用に切り替えなければならない。これは、時間と労力、気力の大いなる無駄である。