インフォグラフィックスとは「インフォメーション」と「グラフィックス」の合成語で、目に見えない情報をイラストや図版など見える形にして伝える技術である。ニュースデザイン協会の国際審査員を務めた著者は、この分野の第一人者で長野オリンピックの公式ガイドブックなども作成した。

図版は言葉に頼らずに誰にでも理解してもらえる共通言語である。インフォグラフィックスは、素人へ向けて必要な情報を伝えることを目的とする。つまり、人とのコミュニケーションを意識し、相手の視点から見た「理解しやすさ」を追求するのだ。

本書が優れているのは、思考のプロセスが丁寧に描かれる点にある。たとえば、「モーグルは激しい起伏をリズミカルに滑り降り、エアリアルは空中でひねりを加え華麗に回転しながら舞い降りる。その様子を、ひらりと風で動いているリボンのように、表裏がみえる立体の矢印で表現した」(32ページ)と目に浮かぶような記述がある。