著者の松元崇さんと初めてお目にかかったのは、25年ほど前だろうか。俊秀ぞろいの大蔵省(現財務省)にあっても、その頭脳は当時から異彩を放っていたようだ。現職は内閣府大臣官房長である。
本書は、緊縮財政を実施して軍事費の増大を抑えていた高橋是清が、2・26事件で暗殺された以後の話である。繁栄していたわが国が、経済原理を理解しない軍部の独走によって破壊しつくされるまでを描いている。
それは、軍部の圧力に屈し、「軍事公債は生産的である」と、陸海軍予算の大幅増を認めた馬場蔵相に始まった。盧溝橋事件以降、止めどなく発行される軍事公債で財政を逼迫させることで国家が破綻していく過程を、財政の対応ぶりから解いていく。
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