試算で判明「家族葬は割安」はウソだった

では、家族葬や直葬を選べば、本当にコストを抑えられるのだろうか。

2019年6月28日の新聞の訃報欄。「告別式は近親者で行う」とある。

最近、雑誌の特集で家族葬や直葬が「割安」であるとの記事が目につく。しかし、そこに落とし穴がある。

結論から言うが、最も支出が多くなるのが「家族葬」であり、その次に「直葬」だ。支出をなるべく抑えようと思えば、従来の「一般葬」を選ぶべきだ。いったい、どういうことか。

家族葬、直葬、そして会葬者を集める形式の葬式(一般葬)のコストを試算してみたのでご紹介しよう。

●家族葬【都内の葬儀会館で親族のみ30人程度を集めた場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのハイヤー代、霊安室代、遺体安置、葬儀会館利用料などで40~80万円+寺院などへの布施30万円
支出額70万円~110万円
●直葬【都内で実施した場合】
一般的な直葬プラン+遺体安置代(2日間)+火葬場への僧侶派遣代
支出額30万~50万円
●一般葬【都内の寺院で会葬者150人程度を集めた場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのマイクロバス代、香典返しなどで計100~130万円+寺院などへの布施30万円
支出額130万~160万円
香典収入 参列者1人平均8000円×150人
収入額120万円
差し引き支出額10~40万円

つまり、今回の各条件で試算すれば、家族葬や直葬では、費用30万円~110万円出ていく一方であるのに対し、会葬者を集める一般葬は香典収入が見込め、コストが抑えられる傾向にある。

葬式を華美な祭壇や演出にせず、一般会葬者を広く集めて香典を受け取り、地域の人や会社の同僚らに手伝いに来てもらった上で、レンタルスペース代がかからない菩提寺や自宅で葬式をやれば、場合によっては「黒字」になることも十分ある。