みんながいつでも「あーだ」「こーだ」言っているこの世界では、100人がツイートすれば100通りの真意があり、その先にまた枝分かれした解釈と連想が広がっています。

そんな世界の中で、他人の解釈や、相手が言葉を発した背景までいちいち考えるのはめんどくさい。だからこそ、意味が一つに固定される「わかりやすい言葉」や「常套句」ばかりが増えてきているのだと思います。

すぐに反応せず、意図を楽しむぐらいがいい

しかしさらに注意が必要なのは、常套句を見かけた時に思考停止を起こしてしまわないこと。たとえ紋切り型の言葉を受け取ったとしても、それに対する自分の気持ちと、他人の気持ちが同じはずはありません。

手塚 マキ『裏・読書』(ハフポストブックス/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

決して決めつけない。相手と同じ絵を描けていると過信しない。そういう前提に立って、言葉の豊かさと、いい加減さに寛容である方がいいんじゃないかなと思います。

それでも言葉一つに戸惑ってしまう時はあるでしょう。「これってどういう意味?」「今、批判されている?」など、「あれ?」と思ったら、まずは自分にめちゃくちゃ都合のいい解釈をして受け流してみるのがおすすめです。目の前の言葉にイライラしすぎる前に、「私に特別目をかけてくれてるんだ」「遠回しに私のこと褒めてる?」といった具合に超ポジティブバイアスをかけて、自分の心を一旦どこかに避難させましょう。

それが真実を確かめた方がいい類の言葉であっても、まずは一呼吸置いてから、相手と会話をはじめたって遅くはありません。言葉のもつダイナミックさを恨むのではなく、気楽に、面白がるくらいのスタンスで。

手塚 マキ(てづか・まき)
ホストクラブ「Smappa! Group」会長
1977年生まれ。中央大学理工学部中退後、歌舞伎町のナンバーワンホストを経て独立。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を立ち上げ、NPO法人「グリーンバード」理事。2017年「歌舞伎町ブックセンター」をオープン。近著に『自分をあきらめるにはまだ早い[改訂版]』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『裏・読書』(ハフポストブックス/ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
(写真=iStock.com)
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