「凋落」の日高屋、「復活」の幸楽苑
ラーメンチェーン「日高屋」を運営するハイデイ日高と、同「幸楽苑」を運営する幸楽苑ホールディングス(HD)の明暗が分かれている。3月の既存店客数は、幸楽苑HDが前年同月比10.8%増の大幅な増加で7カ月連続で前年を上回ったのに対し、ハイデイ日高の同月は4.7%減で5カ月連続で前年割れとなっている。
ハイデイ日高は通期ベースでも不調で、2019年2月期の客数は前期比2.4%減だった。既存店売上高はわずかなプラスで0.7%増にとどまっている。一方、決算期は異なるが、幸楽苑HDの19年2月期客数は2.6%増と好調だ。既存店売上高も1.5%増と伸びている。何が両社の明暗を分けたのか。
ハイデイ日高は3月末時点で430店の直営飲食店を展開している。主力となるのが日高屋で、店舗数で全体の9割を占める。日高屋が同社の命運を握っているわけだが、その日高屋などで昨年4月末に値上げしたのが客足に響いた。
原材料費や人件費などが上昇したため、麺類と定食類を中心に一部のメニューを10~30円値上げしている。例えば、「野菜たっぷりタンメン」は20円引き上げて520円、「肉野菜炒め定食」は10円引き上げて690円に値上げした。
値上げで客数は顕著に減少
昨年4月の値上げ以降、客数が顕著に減少傾向を示すようになった。一方で客単価は上昇傾向を示すようになり、ある程度は客数減を補ったが、完全にはカバーできなかった。値上げの影響が色濃く出た19年2月期の既存店売上高は先述の通り前期比0.7%増とわずかに前年を上回ったが、18年2月期が2.3%増だったことを考えると明らかに失速している。値上げがブレーキをかけた可能性が高いと言っていいだろう。
ハイデイ日高の収益力は衰えを見せている。19年2月期の単独売上高は、前期比3.0%増の418億円だった。増収なので問題ないように思えるかもしれないが、通期ベースでの増収率はここ数年で最低水準だ。近年は4~8%の増収率で推移しており、それより以前は10%の増収率をたたき出すことも珍しくなかった。
業績予想より売上高が10億円強下回ったことも衰えを象徴している。値上げによる客離れで既存店が苦戦したほか、新規出店数が25店と計画の30店に届かなかったことが響いた。