「駅前出店」ゆえに自社競合が発生

今後の成長でも懸念がある。好立地での出店余地が徐々に乏しくなっているためだ。

日高屋はこれまで首都圏の主要な駅の近くに出店することで成長してきたが、日高屋業態の直営店舗数が約400店にまで増えたため、自社競合を避けるかたちで首都圏の駅の近くで出店することが難しくなっている。もっともすでに自社競合しているところもあり、それが客数減につながった面もあるだろう。

営業時間を短縮したことも影響した。日高屋は飲食店の中では営業時間が長く、午前11時~翌午前2時の営業を基本とし、一部の店舗では24時間営業を実施している。大半の店舗が首都圏の駅前繁華街に立地しているため、遅い時間でも集客ができるためだ。

だが、折からの人手不足により深夜に人員を配置できないケースが増えており、営業時間を短縮せざるを得ない店舗が出てくるようになった。これにより、客数が減ってしまったのだ。

幸楽苑は異物混入で客離れを起こした

幸楽苑 道玄坂店(東京都渋谷区/編集部撮影)

一方の幸楽苑HDは集客に成功し、それにより業績が上向いている。

18年4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期比5.2%増の310億円、営業損益は15億円の黒字(前年同期は4500万円の赤字)だった。純利益は13億円の黒字(前年同期は4億8700万円の赤字)となっている。

幸楽苑はかつて集客で苦戦を強いられた時期があった。15年5月に看板商品だった税抜き290円の「中華そば」の販売を終了したことで、客離れが起きた。そして16年10月には、従業員の切断された指がラーメンに混入した問題が表面化したことで、さらなる客離れを引き起こした。

連結売上高は17年3月期に前年割れに転落。翌18年3月期はコスト高で営業赤字に陥り、不採算店の閉鎖や店舗資産の減損処理などで特別損失34億円を計上、最終損益は32億円の赤字(前期は1億円5400万円の黒字)となった。