「いきステ」に業態転換で自社競合を解消

こうした状況を受け、幸楽苑HDは本格的に経営改革に乗り出した。現在の日高屋同様、自社競合が激しくなっていたことを理由のひとつととらえ、2017年10月に「いきなり!ステーキ」とフランチャイズ契約を結び、一部店舗の業態転換をはかった。結果、自社競合が解消し、転換させずに残したラーメン店の客数が大きく伸びる例が見受けられたという。

さらに、商品力の強化に力を入れた。「味の改革」を打ち出し、ラーメンとギョーザを中心においしさの向上を図った。

まず18年4月に、「あっさり中華そば」を改良した「極上中華そば」と、「ギョーザ」を改良した「餃子『極』」を売り出した。これが当たり、18年末には「極上中華そば」は1000万食以上、「餃子『極』」は1500万食以上を販売することに成功している。

SNSもテレビCMもフル活用

期間限定商品を定期的に投入したことも功を奏した。話題になったものとして、「中華そばクラシック」と「チョコレートらーめん」が挙げられる。

「中華そばクラシック」は、前出の290円中華そばを復活させるかたちで昨年9月に10日間限定で販売したメニューだ。創業日を記念して売り出すことにしたという。想定を超える反響があり、一部の店舗では品切れになったほどだ。

「チョコレートらーめん」は焦げ茶色のスープの上に一片の板チョコが載っているラーメンだ。バレンタインデーを意識し、今年2月1~14日までの期間限定で販売した。ラーメンにチョコレートを載せる斬新なアイデアが受け、多くのメディアに取り上げられた。

メニューを改善すると同時に、幸楽苑HDは復活に向けて「マーケティング手法の抜本的転換」を掲げ、情報発信の見直しを図った。特に、フェイスブックやツイッターなどのSNSを積極的に活用している。

たとえば2018年7月には、500人のモニターに10種類のラーメンを無料で提供し、味について率直な感想をSNSに投稿してもらう「味に喝!キャンペーン」を実施している。このキャンペーンをアイドルやアーティストを起用したテレビCMで訴求し、幅広い層に幸楽苑の変化をアピールした。