日本の弱みの「本社力」を強化する報酬体系に

日本企業の経営者の報酬額が海外企業に比べて非常に低いことも、さまざまな研究によって示されています。欧米だけでなく、アジアの企業と比べても低いのです。

1つの理由として、大雑把な言い方をすれば、日本企業が現場を鍛えることに全力を尽くしてきたことが挙げられます。「本社力」よりも「現場力」を企業の競争力の源泉としてとらえているのです。特に製造業の場合、本社で何かスキャンダルが起きても、工場がしっかりしてさえいれば問題ない、という認識が強くありました。そのため、報酬に関しても「現場に厚く、本社に薄く」という考え方があっても不思議ではないのです。

しかし、日本企業が国際市場で劣勢にある今、現場力と本社力のどちらで負けているのかを考えると、マーケティング力や国際標準を獲得する力など、本社力のほうで負けているところが大きいのではないでしょうか。

例えば、今は日本製の携帯電話は海外製に比べあまり人気がありません。それは製品の品質が悪いわけではなく、むしろ戦略やマーケティングに問題があるのではないでしょうか。そうだとすれば、いくら現場が頑張ってもどうしようもありません。競争のルールが変わった今、もっと本社力を強化する必要があります。そのためにも、役員報酬の見直しは必要と言えるでしょう。

経営者の報酬は、リスクを取るために業績との連動を強めることが重要だと述べました。ただ、どの業績との連動を強めればよいかは、業種によって異なりますし、競争力の源泉がどこにあるかによっても異なります。

共通するポイントとしては、短期的な業績だけでなく、長期的な業績も考慮すること。また、株価とそれ以外の業績とのバランスも重要です。つまり、1つだけではなく、複数の指標を組み合わせた報酬体系にすることです。

さらに、自社だけで業績を評価するのではなく、同業他社と比較した相対的業績評価も必要です。例えば、あらかじめベンチマーク企業をグローバルに20社ほど設定しておき、その20社と自社の株価上昇率を比べて、そのポジションによって報酬を決めるようにするのです。