警察とは思えない「配慮」の仕方

新潟県警は、この事件の広報文を出したが、内容は県警記者によるとこうだったという。

「新潟市内在住のA(25・無職)とB(25・大学生)が、市内在住の女性(23・自営業)に暴行し逮捕された」

これでは記者たちの関心を引くわけがない。なぜ、県内トップの人気を誇るアイドルグループの1人が暴行されたと発表しなかったのだろう。

しかも、後述するが、彼らはアイドルグループを狙う半グレ集団のような連中なのである。一罰百戒をモットーとする警察とは思えない「配慮」の仕方だ。

その上、AとBを20日間拘留していたにもかかわらず、検察は「不起訴」にしてしまうのだ。

これだけの事件が起き、彼女たちの警備体制に問題があったのは明白なのに、今村という支配人らは、ダンマリを決め込むだけだった。

なぜ被害者である女性に謝罪させたのか

事件が明らかになったのは1カ月もたってからだった。しかも当人の山口がツイッターに、「私は先月公演終わり男2人に襲われました。あるメンバーに公演の帰宅時間を教えられ、またあるメンバーに家、部屋を教えられ、またあるメンバーは私の家に行けと犯人にそそめかしていました」(原文ママ)と窮状を訴えたのである。

事件直後から不仲と噂されていた太野彩香(21)と西潟茉莉奈(23)をツイッターのフォローから外したため、2人の関与が疑われた(文春によると、2人は県警に事情を聞かれたが、事件とは無関係だったという)。

NHKをはじめメディアが一斉に報じ、取材に動いた。

だが、AKS側は「担当者が不在」だとして、何も説明しなかったのである。多くの10代、20代前半の女の子を抱えている事務所とは思えない無責任で当事者意識の欠如した対応だ。

1月10日、公演で山口自らが、「たくさんお騒がせしてまことに申し訳ありません」と謝罪したが、当然ながら、なぜ山口に謝らせるのだ、彼女は被害者ではないかという批判が巻き起こった。

仕方なく、ようやく14日になって、AKSの松村匠運営責任者兼取締役と、今村ではなく、新たに支配人になった早川麻依子が謝罪したが、AとBはすでに不起訴になっているのに「警察の捜査」を理由に詳細な説明を拒み、今村の交代は「引責ではない」といい放ったのである。