10代の女性たちの「性」を売り物にする国

それに、今回のケースは、男たちが寮の中のメンバーの部屋に入って待ち伏せしていたというのだ。

勘繰りすぎだといわれるかもしれないが、秋元康は安倍政権と親しいと噂されているし、東京五輪の組織委員会理事にもなっていることで、警察や検察が「忖度」したという可能性もまったくないとはいい切れないのではないか。

または、事務所側がこれ以上騒ぎが大きくなることを恐れて、山口にいい含めて被害届を取り下げさせたのではないのか。

話は変わるが、援助交際、ブルセラショップ、メイド喫茶、JKビジネスという言葉から、読者の皆さんは何を想像するだろう。

日本ほど10代の女性たちの“性”を売り物にして、客を引き、カネを儲ける商法が大っぴらにまかり通っている国は、欧米先進国にはないと、私は思う。

AKB48商法もこの延長線上にあるといってもいいのではないか。

AKB48が「キャバクラ」と同じやり方をする理由

かつてアメリカのCNNの記者が、秋元にインタビューした際、こう聞いたという。

「日本社会には現在、若い子たちの性的な搾取が多いとの声もあります。あなたが手がけたミュージックビデオにも、制服やビキニ、セクシーな下着に身を包んだ女の子たちが、お互いの顔をなめたり、キスしたり、お風呂に入ったりという表現があります。ご自身も、この問題に関与していると思いますか?」(J-CASTニュース2012年1月16日より

もちろん秋元は、即座に「思わないですね」と答えている。

だが、AKB商法は、会える、触れられる(握手)アイドルというのが、秋元が考えたコンセプトである。

私の友人で、60半ばになるアイドルオタクが、「AKB48は、もともとキャバクラをやっていた戸賀崎智信が秋元と組んで始めたもの。だからキャバクラと同じやり方をやっている」と教えてくれた。

握手券を売り、CDを買えばAKB総選挙に投票できるカネカネカネという商売のやり方は、なるほどキャバクラ的である。

秋元は、歌はそれほどうまくない、踊りも容姿もそこそこの女の子たちに、私でもテレビに出られる、アイドルになれるかもしれないという夢を与えた。また、ちょっとかわいい隣の女の子とチケットを買えば握手ができるという“疑似恋愛”システムは、寂しい若者やおじちゃんたちにも夢を与えた。

だが、キャバクラでも、カネを貢いだのに靡(なび)いてくれないため、刃傷沙汰が起きることがたびたびあるように、10万人に1人でもよからぬ下心を持つファンがいて、刃物を振り回す、ストーカーになって付け狙う輩が出てくれば、それを事前に防ぐのは至難であることは、今回の事件を見てもよく分かる。