世田谷学園は「事実関係は存在しない」
教員からのパワハラが原因で、中学2年の終わりから高校卒業まで不登校で過ごし、2度も転校勧奨をされたAさん。父親や代理人弁護士と連名で、世田谷学園に関係者の処分と原因究明などを求める通知書を送付し、10月29日までの回答を求めていた。
それに対し世田谷学園は、教諭らに対して弁護士による事情聴取を行った上で対応を協議する、と回答を先送りした。筆者の質問に対しては「事実認識に相違がある」と答えていた。ここまでが前回お伝えした内容(10月31日「名門私立"世田谷学園"の教員パワハラ疑惑」)だ。
その後11月9日付けで、世田谷学園の代理人弁護士からAさん親子に対し、回答書が送られてきた。その内容は、パワハラを全面否定するものだった。
この回答を受けて、Aさん親子と世田谷学園双方の代理人弁護士が、11月19日に面談した。これまで世田谷学園はパワハラについて謝罪はしていたのだが、面談の場ではAさんがパワハラと主張した事実をことごとく否定。話し合いに応じる姿勢を見せながら、実際には強硬な態度を示した。
「担任に会うことが怖かった」
世田谷学園側からの回答を受けて、Aさんが改めて取材に応じた。Aさんは今年3月、4年間不登校のまま卒業し、早稲田大学に進学。しかし、パワハラの影響による睡眠障害にいまも悩まされ、治療を続けている。取材を受けること自体、本来はつらいと言うが、世田谷学園の対応に怒りを隠せなかった。
「担任に暴力的なことを言われたのも、転校を迫られたことも事実です。全て否定するのであれば、これまで学園側が謝罪していたのは何だったのでしょうか」
Aさんは、パワハラを受けた当時の思いをまとめたメモを持ってきてくれた。
前回伝えた通り、Aさんがパワハラを受けたのは中学2年生の冬。風邪をひいて学校を休んでいたところ、不登校になったのかと誤解した担任から突然、携帯電話に着信があった。電話口で説明しても風邪だと信じてもらえず、「学校に来い」と執拗に言われた。そして学校に出向くと、強く叱責され、「お前は離婚家庭だから心が弱い」とののしられた。
このことをきっかけに担任のことが怖くなり、原因不明の腹痛に悩まされるようになった。「担任に会いたくない」と、不登校になったのだ。