及第点のオーナーは3割

その意味では、アースホールディングスに加盟している各フランチャイズ店では、経営者から有能な部下に経営を譲っていくのが一番自然な形だと思っています。

私はガーデニングが好きなので、田舎に引っ込んで植物を世話しながらのんびり暮らすという生活にも憧れはありますが、実際には社長を退いたとしても、会長になるなど、なんらかの形でアースホールディングスに関わり続けることになると思います。経営から引退しても、人を育てる仕事は残るからです。

目標だった100人の経営者(フランチャイズオーナー)はつくりましたが、私の目から見てそのうち及第点をつけられるのは全体の3割ほど。あとの7割をちゃんとした経営者に育てるには、まだ10年は必要でしょう。

私は今、日本全国の全240店舗を毎年回って経営指導をしています。そこではノウハウだけでなく、経営者としての哲学を伝えていくことが必要と考え、一緒に温泉宿に泊まったりして、いろいろな話をしています。

私はこれまで「100年続く企業をつくる」と言ってきました。そのためにまず100人のフランチャイズオーナーをつくり、その中から本部の社長を務められる人を育てる。そしてその人がまた次の社長と交代できるような体制をつくっていく。そうしないと100年続く企業にはなりません。

私の次の次の次、3代先まで見えてきたら、完全に会社を離れてもいいかなと思っています。「もう自分は退いたほうがいい」という日がきたら、おそらく誰よりも先に自分でそうわかるのではないでしょうか。

國分利治
アースホールディングス社長/59歳、妻52歳、長男29歳、長女25歳、次女17歳
1958年:福島県福島市生まれ
1976年:工業高校を卒業し、電気関係の会社のサラリーマンになる
1978年:経営者になるため上京、新宿の美容室に就職
1982年:17店を管理するマネジャーに
1989年:独立してビッグモアを創業
1999年:フランチャイズシステムに切り替え
2007年:フランチャイズ本部のアースホールディングスを設立
2018年:「オーナー100人」を達成
(構成=久保田正志 撮影=永井 浩)
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