私の故郷は福島県福島市です。父は母方の祖父が創業した製材会社のナンバー2で、営業全般を見ていました。しかし祖父が引退してからは、苦労が増えたのか愚痴が多くなりました。たとえば「社長がもっと営業の苦労をわかってくれたらなあ」とこぼすのです。

その気持ちも今ならばよくわかります。でも当時は「ナンバー2のまま愚痴を言うなんて無意味だ。嫌なら辞めて独立すればいいのに」と考えました。私は高校卒業後、堅実な電気関係のサラリーマンをしていたのですが、そのままでは社長になれそうもなかった。それで19歳で会社を辞め、東京に出ることにしたのです。

独立したのは31歳のとき

転職先は新宿の美容室でした。5年間で仕事を覚え、25歳で独立開業するつもりでしたが、実際にはもう少し時間がかかりました。

その美容室は、従業員のなかからフランチャイズオーナーをつくってどんどん独立させるという経営方針でした。私が最初に入店した新宿店の店長は、同じ会社の赤字店を会社から譲り受けて独立しました。一緒に店を移った私は、それから8年間で17店の出店に立ち会い、出店準備、求人、マーケティング、フランチャイズシステムなどを一通り学びました。独立したのは31歳のときです。

以来、ひたすら目の前のことを一生懸命やるだけでした。独立して店を構えると、その年のうちに2号店を出店。10年間で50店舗まで増やしました。その後、ビッグモアがフランチャイズ本部となり、そこに独立したオーナーが加入するという形に切り替えました。1999年に1人目のオーナーが誕生したのを皮切りに、2006年までに23人のオーナーが誕生しました。

そして07年にはアースホールディングスを設立。直営店をなくし、ビッグモアを含めてすべてをアースホールディングスのフランチャイズ店とする、現在の形態が出来上がりました。

今、私は自分の会社であるビッグモアを経営しながら、フランチャイズオーナーとしてアースホールディングスに加盟し、その一方で本部であるアースホールディングスの社長でもあるという立場です。力のついた店長たちにはどんどん店を譲って独立させていったので、今ではビッグモアには数店を残すのみとなっています。

直営店をどんどん独立させていったのは、「オーナーとしての意識がある人が店を切り盛りしたほうが経営はうまくいく」という信念があるからです。