「週に2日はオフィス以外で仕事をする」

鎌倉では「つながる」ための具体的な取り組みも始まっています。2018年7月、鎌倉市は、鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会の研究会準備会を開催しました。働き方改革の一環で、テレワークを推奨する企業が増えています。

たとえば「週に2日はオフィス以外で仕事をする」ような働き方です。都内から電車で1時間足らず、海と山に囲まれた鎌倉でテレワークをしてもらうことで、鎌倉で働く人を間接的に増やす。そんな取り組みです。

冒頭で述べた「パートナーオフィス」はこの動きとも連動したものです。過去5年間にカヤックとお取引いただいた企業に勤める人であれば、誰でも利用できます。鎌倉で「働く人を増やす」ことは、採用にも直結する重要なテーマです。

「まちの社員食堂」という地域活性化コンテンツ

さらに、働く人たちが、会社や組織の垣根を越えてつながっていけるような新しい「場」も生まれています。「まちの社員食堂」です。

まちの社員食堂の外観。(撮影=プレジデント社書籍編集部)

地元で働く人たちみんなが、美味しい朝食で1日のエネルギーを蓄えたり、ランチミーティングをしたり、軽く飲みながら交流を深めたりできる場所。料理は週替わりで、地元のレストランが提供しています。オープン以来、たくさんの取材をいただき、日本全国の自治体や企業、国の行政機関などから多くの視察が訪れています。

カヤックが自社社員のためだけに社員食堂をつくったのであれば、これほど注目されることもなかったでしょう。地元企業や飲食店などを巻き込んだ、新しい地域活性化コンテンツだからこそ「面白い」のです。

東京のコピーをつくれば地域の経済資本は増えるかもしれませんが、環境資本や社会資本がむしろ貧しくなる可能性もあります。それぞれの地域がそれぞれのよさを生かした社会経済のモデルを模索し、発信しつつ、緩やかにつながっていく。そんな新しい時代の資本主義を一緒につくっていく仲間が増えていくことを願っています。

柳澤大輔(やなさわ・だいすけ)
面白法人カヤック代表取締役CEO
1998年、学生時代の友人と面白法人カヤックを設立。2014年12月東証マザーズ上場(鎌倉唯一の上場企業)。鎌倉に本社を置き、Webサービス、アプリ、ソーシャルゲームなどオリジナリティあるコンテンツを数多く発信する。2015年に冒険法人プラコレ、2016年に株式会社ガルチ、2017年に鎌倉R不動産、ウェルプレイドがカヤックグループにジョイン。
子会社として、2016年にカヤックハノイ支社、鎌倉自宅葬儀社、2017年に株式会社カヤックLIVINGを設立。ユニークな人事制度やワークスタイルを発信し、新しい会社のスタイルに挑戦中。2015年株式会社TOWの社外取締役、2016年に株式会社クックパッドの社外取締役就任。
(写真=iStock.com 撮影=プレジデント社書籍編集部)
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