国分寺の地域通貨「ぶんじ」が、全国から注目を集めている。「ぶんじ」にはメッセージカードの機能があり、使うときに受け手に一言書いてから渡す。メッセージでいっぱいになった「コンプリートぶんじ」をお守りのようにとっておく人も多い。仕掛け人の一人であるクルミドコーヒーの影山知明さんは「使う人が育てていく通貨」という。「鎌倉資本主義」の提唱者、面白法人カヤックの柳澤大輔さんが話を聞いた――。(後編/全2回)

※本稿は2020年2月28日に収録された「地域資本主義サロン」での対談をまとめたものです。

国分寺地域通貨「ぶんじ」。使うときに贈り手が裏面にメッセージを書いて渡すというルールがあり、裏面がいっぱいになると「コンプリートぶんじ」として新しいものに変えてもらえるが、そのまま持っている人が多いという。
撮影=プレジデント社書籍編集部
国分寺地域通貨「ぶんじ」。使うときに贈り手が裏面にメッセージを書いて渡すというルールがあり、裏面がいっぱいになると「コンプリートぶんじ」として新しいものに変えてもらえるが、そのまま持っている人が多いという。

街で暮らすことが楽しくなる地域通貨

【影山】最初、企画のために集まったメンバーが10人ほどいました。その後、入れ替わりもありながら、「企画メンバー」としてメーリングリストに参加してくれている人は今、60人、70人ぐらいいます。これをやることで地域経済を活性化させるとか、ボランティアワークを可視化するとか、社会的な意義っていうこともそれはそれでもちろんあると思うんですが、やっぱりこれを持っていることで街に暮らすことが楽しくなるというのが原点にある。

柳澤大輔『鎌倉資本主義』(プレジデント社)
柳澤大輔『鎌倉資本主義』(プレジデント社)

【柳澤】持っているだけで楽しくなる?

【影山】たとえばですね、ぶんじの表面にドラゴンボールの星を描いた人がいるんです。

【柳澤】ここに描いてもいいんですか?

【影山】はい。ぶんじは落書きし放題なので。それが流通していて。

【柳澤】自分に回ってきたらうれしいですね。ラッキーカード(笑)。

【影山】そうですね。ああ、見つけた! ってなりますよね。これを7種類そろえると神龍が出てくる、とかね。でも、これ持っている人、渡さないんですよね(笑)。

【柳澤】ずっと抱え込んじゃってると。

【影山】いまどうなってるかというと、持っている7人というのが徐々にわかってきて、みんなで集まって神龍(世界中に散らばるドラゴンボールを7つ集めると出現する、どんな願いもかなえてくれる龍)の話をすると。

【柳澤】流通はしないけど新しい関係性ができていますね。