テレビ番組『世界の果てまでイッテQ!』の「祭り企画」にヤラセ疑惑があると週刊文春が報じた。日本テレビは11月18日の放送で「開催実績や開催経緯などの説明に誤りがあった」などと謝罪したが、番組は続けるという。ジャーナリストの元木昌彦氏は「ないものをデッチ上げるのは誤りではなく捏造だ。視聴者を騙した番組がいつまで続くだろうか」と指摘する――。
日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』のウェブサイト。「お知らせ」として経緯を説明する文書が掲示されている。

「日本テレビには“不適切な取材”が多い」

日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』問題はヤラセではない。捏造である。

日テレでNNNドキュメントや報道番組のキャスターをやり、現在は法政大教授の水島宏明氏は『内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造』(朝日新書)の中で、ヤラセと捏造の違いをこう定義している。

「ヤラセは事実を真剣勝負に見せながら、演技や作為によるものをいう。捏造とは、事実でないことを偽って事実だと伝えること」

これに倣えば、今回の『イッテQ』の「ラオスの橋祭り」は間違いなく捏造である。水島氏はこうも指摘している。

「日本テレビには“不適切な取材”が多い」

2009年3月に『真相報道バンキシャ!』で裏金証言が偽物であることが発覚した。この時は社長が辞任している。

2011年1月には『news every.サタデー』で放送されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だった。

2012年4月には『news every.』で「食と放射能 水道水は今」という特集を放送したが、「宅配ビジネス」の客として紹介された女性が、実は一般の利用客ではなく、この宅配ビジネスの経営者一族で、大株主だったことが判明。

2012年2月と6月には『スッキリ!』で、出会い系サイトやサクラサイトで詐欺にあった被害者として登場したのが、どちらも弁護士事務所の事務職員だった。

この本が出版されたのは2014年11月だから、実例がやや古いが、その後も、日本テレビの看板番組となっている『24時間テレビ 愛は地球を救う』でも、タレントや芸人たちが走るマラソンにヤラセ疑惑がささやかれている。

番組のモットーは「ウソとヤラセの完全排除」

なぜ、日本テレビにこうした不適切な取材やヤラセが多いのか。それを考察する前に、今回の『イッテQ』デッチ上げ騒動を振り返ってみたい。

週刊文春(11月15日号)が、日テレの高視聴率番組『イッテQ』の中の人気企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」にデッチ上げがあると報じた。

この番組は2007年に始まり、12年には年間視聴率1位を獲得している。現在も20%超の視聴率を誇り、4年連続、視聴率3冠を続ける日テレの顔ともいえる存在である。

内村光良をメイン司会者に、イモトアヤコ、ジャニーズの手越祐也らが体当たりの海外ロケに挑むバラエティで、11年、『イモトが挑む南米大陸最高峰アコンカグア登頂スペシャル』は、放送文化の発展と向上に貢献したとして、ギャラクシー賞を受賞している。

この番組のモットーは「ウソとヤラセの完全排除」。だが、文春は同番組の祭りコーナーで「ウソとヤラセがあった」と指弾したのである。