エース級の『イッテQ』に傷をつけるなと厳命か

そのためには日曜日のゴールデンタイムが重要だそうだ。夕方に高齢者を呼び込む『笑点』があり、『鉄腕!DASH!!』と『イッテQ』で子どもから親の世代までを取り込み、『行列のできる法律相談』まで高視聴率をつなげるのが日テレの強みだ。

その中でも『イッテQ』はエース級だという。それがデッチ上げ疑惑で視聴率に陰りが出ればどうなるか。徹底的に否定しろ、番組に傷をつけるなと、経営陣から厳命が下ったこと、想像に難くない。

日テレの中興の祖である氏家齊一郎氏は、日テレ好調の秘密を私に聞かれて、「いつも現場には、オレのわからない企画を持ってこいといっている」と答えた。

そんな中から『進め! 電波少年』のような迷企画が次々生まれた。お笑い芸人・猿岩石がヒッチハイクで世界を旅するコーナーが人気だったが、96年に、一部飛行機に乗って移動していたことがバレて批判を浴びた。『電波少年』のような摩訶不思議な企画は、自由な空気の中で、突拍子もない人間がいて生まれてくるものだ。トップの座を維持することにキュウキュウとしている現場に、それを求めることは酷だろう。

上からは「コンプライアンスを重視しろ」「視聴率の取れる面白いものを作れ」という二律背反の檄が飛び、現場は混乱しているはずだ。

「画を撮ってナンボ」というのがテレビの世界

先の水島氏は、バラエティや情報番組に見られる過剰な演出が、「事実・真実の確認」が最優先されるニュースの現場でも深く浸透していると書いている。

「画を撮ってナンボ」というのがテレビの世界だが、それは映像が「事実である限り」という絶対条件が付くことはいうまでもない。水島氏は、不祥事が続発する背景をこう指摘している。

「こうした不祥事が起きると毎回チェック体制ばかりに目が向けられ、発端になった『紹介してもらう取材』のような根本的な背景となっている取材姿勢の問題は軽視されてきた」

今回も、映像や演出などについてはそれなりにチェックしていたのであろう。フライデー(11月30日号)でフジテレビ関係者が、こう話している。

「効率化を図るため、プロデューサーら幹部同席のチェックは極力、最小限にとどめる。各コーナーの担当チームが持ち寄った資料等にサッと目を通し、後は制作会社や放送作家、ディレクターらに詳細を詰めさせるのだそうです」

これでは、ラオスやタイにこうした祭りが本当にあるのか、チェックできるはずはない。