世界経済を支えた米IT先端企業
足元の世界経済は、米国経済の緩やかな回復に支えられ全体的に安定している。この状況を支えてきた1つの要因が、米国のIT先端企業の成長だ。
特に、GAFAの存在は大きい。GAFAに代表される米国のIT先端企業は、スマートフォンやECプラットフォームなど、ヒット商品を生み出して付加価値を創造してきた。
IT先端企業は自動運転やコネクテッドカーの開発など、事業分野を拡大させている。金融理論とネットワークテクノロジーを融合した“フィンテック”分野でも、IT先端企業の影響は増している。「GAFAは米国のハイテク企業の代名詞であり、今後も成長が期待できる」といった報道があるのはこのためだ。それに伴い、より高性能の半導体や半導体製造装置などへの需要も高まっている。
データ不正流出でフェイスブックに不信感
しかし、GAFAを十把ひとからげにして扱う考え方は適切ではない。それは、リスクを見落とすことにつながる恐れがある。どういうことかといえば、IT先端企業は、ユーザーに関するデータ(ビッグデータ)の収集と利用を売りに成長してきた企業と、そうではない企業に分類できる。
フェイスブックなどのSNS企業は、ユーザーのデータを収集し、それを利用して広告収入を獲得してきた。だが2018年3月、8700万人分ものデータが不正に第三者に渡っていたことが発覚した。データを入手したコンサル企業のケンブリッジ・アナリティカは、2016年の米大統領選挙でトランプ陣営が有利になるよう、人々に影響を与えた可能性が指摘されている。
この結果、フェイスブックのデータ管理への不信感が高まり、ユーザーが減少している。データをどう保護し、適正に管理・活用するかはフェイスブックだけでなくツイッターなどのSNS企業にも当てはまる問題だ。