これからも二極分化が予想されるGAFA
フェイスブックなどと対照的に、アマゾンは今後も成長が期待されている。アマゾンは、フェイスブックほどにデータの収集を重視していないと考えられる。同社が重視しているのは、物流だろう。
アマゾンは、リアル(実社会)とネット空間の接続性を高め、成長してきた。ネットワークテクノロジーの発展と普及によって、さまざまな経済活動がインターネットに取り込まれていくだろう。すでに、取引の契約や、資金の決済などはネット上で完結できる。
しかし、買った品物は目的地にまで届けられなければならない。それができないと、わたしたちは購入したモノを使えない。リアルとネットをつなぐためには、物流が欠かせないのである。物流を制する者は世界を制すといっても過言ではないほど、効率的な物流の仕組みを整えることの重要性は高まっている。国内でのアマゾンの事業展開を見ても、自前で“デリバリープロバイダー”のネットワークを整備するなど、アマゾンの物流構築力には目を見張るものがある。
転換期を迎えるグーグルとアップル
GAFAの残る2社、グーグルとアップルは、ビジネスモデルの転換期を迎えている。グーグルは検索サービスと広告をつなぎ、成長してきた。データ利用の規制強化などが進む中で、広告事業を軸に成長を維持することは難しいだろう。同社は自動運転技術などの新しい取り組みを進めている。それが、いつ、どのような効果を発揮するかは見通しづらい。アップルは、“iPhone”に代わる新しいヒット商品を生み出せるか否かが、中長期的な成長を左右するだろう。
決算発表までの5年間、フェイスブックの株価はアマゾンと歩調を合わせるかのように上昇してきた(過去5年間の株価上昇率はアマゾンが500%、フェイスブックは480%程度)。決算発表を境に、GAFAの中でアマゾンの株価は一人勝ちの状況だ。
フェイスブックはデータの管理を御座なりにしてきた結果、社会的な信用を失いつつあるようにさえ見える。フェイスブックの経営は一段と厳しい状況に直面する可能性がある。
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。